日産自動車の複数の工場で、新車の出荷前に行う排ガス性能の検査結果を、都合よく改ざんする不正が行われていたことが発覚しました。
昨年発覚した、無資格者による「完成検査」も記憶に新しいところですが、またしてもその完成検査工程にて不正が明らかになったのです。
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日産、新車の排ガス検査で不正 複数工場で測定値改ざん
関係者によると、今回不正が発覚したのは、出荷前に車の性能をチェックする「完成検査」の中で、数百台から数千台に1台の割合で車を選んで実施する「抜き取り検査」という工程。そこで行われる排ガス性能の測定で、思わしくない結果が出た場合、都合のいい数値に書き換える不正が国内の複数の工場で行われていたという。今春以降に社内で発覚したという。
この検査は、メーカーが車を量産する際、国に届け出た設計上の性能通りにつくられているか確かめる重要なもの。メーカーは適正な実施を前提に、車の量産を国から認められている。測定値が設計上の性能からずれていれば、出荷ができなくなることもある。
日産では昨年9月、完成検査を実際は無資格の従業員が担ったのに、有資格者が行ったように偽装する問題が発覚。検査体制を改善するため、全6工場の出荷を1カ月弱停止し、生産や販売に影響が出た。一連の不正に絡み、国土交通省からは2度の業務改善指示を受け、今年3月には西川広人社長が石井啓一国交相に直接、「法令順守をさらに徹底していく」と、再発防止を誓ったばかりだった。
同様に無資格者による検査が発覚し、その後、排ガスデータの不正も明るみに出たスバルでは、責任を取る形で吉永泰之社長(当時)が6月の株主総会で社長を退いた。新たに不正が明らかになった日産でも、西川社長の経営責任が改めて厳しく問われることになりそうだ。
出展:www.asahi.com
不正台数は?
今回不正が発覚したのは、組み立てが終わった車両に対する抜き取り検査。燃費や排ガスの測定値が、自社で設定した基準を外れた場合に、都合良くデータを改ざんしていました。測定の際、車の速度や試験室の温度や湿度が基準で定める範囲を逸脱していたにもかかわらず、適切に行われたかのように見せかけていたケースも確認されたようです。
不正は少なくとも2013年4月から2018年6月まで行われており、抜き取り検査対象の完成車のうち53.5%に当たる1,171台で不正があったといいます。
9日午後5時 緊急会見にて
日産自動車は9日午後5時過ぎ、緊急会見を開き、車の排ガスや燃費の検査データを改ざんしていたことを明らかにしました。
「お客さまはじめ、関係者の皆様に深くおわびを申しあげます。申し訳ございませんでした」
日産自動車 山内康裕氏
日産によると、不正があったのは神奈川県の追浜や栃木など国内の複数の工場。
品質には問題ないとしており、国の保安基準は満たしていると説明しています。
昨年9月にも完成検査不正
日産では昨年9月、完成検査を実際は無資格の従業員が担ったにも関わらず、有資格者が行ったように偽装する問題が発覚しています。その際は検査体制を改善するため、全6工場の出荷を1カ月弱停止し、生産や販売に影響が出たのは記憶に新しいところ。
一連の不正に絡み、国土交通省からは2度の業務改善指示を受け、今年3月には西川広人社長が石井啓一国交相に直接、「法令順守をさらに徹底していく」と、再発防止を誓ったばかりでした。
立て続くずさんな品質管理に、会社としての経営責任も改めて問われることになりそうです。
技能実習生でも不正
完成検査だけにとどまらず、日産自動車では、外国人技能実習生45人に対して国へ届け出た計画と異なる作業をさせていたことが2018年6月6日発覚しました。
日産によると、45人はインドネシア人が41人、フィリピン人が4人で、横浜工場と追浜工場で計画外の作業をしていました。車のバンパーを作る「プラスチック成形」の技能を学ぶ実習生にバンパーの塗装をさせていた事例などが発覚しています。
日産は「制度について現場が十分理解していなかったとみられる。今後、コンプライアンス(法令順守)の徹底に努める」と話しています。
自動車の品質だけではなく、人の質まで疑わしく思えます。
最後に
日産ノートは、2018年上半期(2018年1月~6月累計)の販売において、73,380台を記録し、国内の登録車販売ランキングで1位を獲得したと発表したばかりでした。日産車としては1970年上半期の「サニー」以来48年ぶりに、国内登録車トップの座を奪還したのです。
昨年の完成検査不正が発覚した際には、生産も一定期間停止していたため、販売台数に大きな影響が出ました。
2017年9月のノートの販売台数は15,469台でしたが、不正発覚後の10月は12,728台減の2,741台と激減したのです。しかしわずか1年で盛り返し、最も売れるコンパクトカーになったわけです。一体どういうことなのでしょうか?
その理由は、シリーズハイブリッドの1種であるe-POWERが原動力になっていると言えます。エンジンで発電した電気でモーターを駆動させる「新しい電気自動車のカタチ」として好評なのです。100%モーター駆動ならではの力強くかつ、スムーズな加速性能をはじめ、高い静粛性、さらには回生ブレーキを利用した、アクセルペダルの踏み戻しだけで加速から減速まで容易に操作できる「ワンペダル」ドライブといった新たなテクノロジーが支持されています。
しかしまた、振り出しに戻ってしまうのでしょうか。
むしろ日産ユーザーにとっては、検査の不正など大したことではないのでしょうか。今後の動向が注目されます。