自動車関係で人物を意味する用語としては、”レーサー”が一般的かと思います。
競技用車両の操縦をコンマ何秒の世界で繰り広げるレーサーには、決して誰でもなれるものではありません。しかし気付かぬうちに誰しも”ライサー”になっている可能性はあります。
ライサーとは
ライサー(ricer)とは、自動車をより速くて高性能な車に“見せるため”に行う改造のことで、そうした改造を行う人のことを指す隠語です。米国ではおもに軽蔑的な意味で使われています。
もともと1960年代の日本製のバイクに対して使われていましたが、現在では一般的に米を主食とする東アジア製の手軽な輸入車に対して使われるようになりました。エクステリアを過剰にドレスアップするなどの改造を施すことをライスアウト(rice out)ともいいます。
逆にエンジンに手を加えてパワーを上げ車体を強化するなど、基本となる車両に対して性能を向上させること、それを行う人のことをチューナー(tuner)と言い、多くの場合ライサーの対義語として用いられます。
“RICE”は“Race Inspired Cosmetic Enhancement”(レースに触発された表面上の強化)の頭文字を取ったバクロニム(意味を後付けした造語)としても認識されています。
何をしたらライサーになる?
とはいっても、ライサーに明確な定義はありませんが、一般的には以下の項目のうち一つ以上を満たしている車や人のことを指します。(参照:Wikipedia)
①必要以上に大径のホイールを装着している
②動力性能の向上にはほとんど繋がらない大径のマフラーを装着している
③車体後部に大きなスポイラー(GTウィング)を装着している
④クリアタイプのテールレンズを装着している
⑤多数のネオン管やLEDによる照明を車内外に装着している
これらに限らず、自分の車を「パフォーマンスのことは考えず、より早く高性能な車に見せる」ようなことをすれば、あたなも立派なライサーです。
純正ライサー
「最初からそういう車だったら?」そう思った方もいるはず。
メーカーのオプションでも一般的な、いわゆる「エアロ」は動力性能に全く関係なく、ただただスポーティに見せているわけですから、完全なライスです。
とりわけ、動力性能を追求したわけでもない車が多く当てはまります。
トヨタ 86GT エアロパッケージ
トヨタ TRDアルファード
日産ノートNISMO
スバル インプレッサWRX StI S201
多少意味のあるエアロパーツでも、必要以上にけばけばしさがあればライサーとみなされても文句は言えないのです。
ライサーにならないためには?
では、どうすればライサーにならずにすむのでしょう。その答えはそのパーツや機能に「意味がある」かどうかで決まります。
エアロパーツも車の性能に大きく貢献するならばいいですが、ただの飾りではない方がましです。その中でも特にスポーツモデルに多いのが、メッシュ状のエアインテークと見せかけて実はただのプラスチックだったりただの飾りだというものです。
しかしメーカーが最初から行っているものは仕方ないとして、それ以上余計なことはしないこと、もしくは「エアロ仕様」自体を避けることが望ましいでしょう。
もちろんどのような車に乗ろうが個人の勝手ですが、ライサーという言葉だけでも覚えておけば、周りから見てもよりよいカーライフがおくれるのではないでしょうか。