新興国向けのブランドとして2013年に復活したダットサン。
しかし日産の経営状態が著しく悪い中で、早くも廃止が検討されているようです。
ダットサンブランド 2回目の廃止
(和約)
日産は、40年の歴史の中で2度目となるダットサンブランドの廃止を再建計画の一つとして掲げているようだと、Bloombergは報じました。
日産はコロナウイルスの感染拡大の前から財政的な強い向かい風を受けており、ルノー・日産前会長カルロス・ゴーン氏の逃走劇に続いて、ますます状況は悪化しています。3年計画のひとつであるコストカットの効果は、2020年5月28日の決算報告に続いて発表が予定されています。
その計画はマーケティング費と研究費の削減を含んでおり、ダットサンブランドの廃止も計画されているとBloombergは報じています。このブランドは2013年に再設立され、インドやロシアといったいくつかの新興国市場向けに安価な車をラインナップしています。
その代わり、ヨーロッパからの撤退や新型車の不足によりここ数年低迷しているインフィニティブランドに注力すると考えられています。
ダットサンブランドのデビュー時は状況は違っていました。日産が急速な拡大と多くの新セグメントや新市場を開拓しようとしていたタイミングです。そのような中、日産のより手ごろなモデルとして小型ハッチバックとセダンをランナップし、日産の存在感が比較的薄い地域で、特にダチア、ラーダ、シュコダといった他のモデルと競争すべく1986年からダットサンは戻ってきました。
インド、ロシア、インドネシアに工場を持つことでブランドは素早く展開され、1980年代のダットサンを覚えていない若い世代にも人気となりました。
2013年に再登場したダットサンブランドは、ゴーン氏が生産数と新市場を追いかけ、他の優先事項を犠牲にした拡大路線の産物と言えます。それでも景気回復の動きが鈍く、安価な車に非常に需要があったいくらかの間は軌道に乗っていました。ダットサンは再起動後の最初の2年間で堅調な成長を遂げましたが、もちろん北米では見られなかったため、ここから感覚をつかむことは困難でした。2017年頃に需要が尽きるまで、生産戦略は実際に上手くいっていました。
しかし2019年夏、日産の財政が大打撃を被り、全世界で12,500人の従業員の解雇を促し、ラインナップの10%を削減する計画が発表されました。これによりダットサンの差し迫った終焉についての報告が過去半年間流通しました。それに新型コロナウイルスが追い打ちとなり、ブランドを段階的に廃止する計画を早めたようです。
では誰がこの安価ブランドを受け継ぐのでしょうか。おそらくそれは三菱でしょう。
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日産自動車は、2020年3月期決算の最終的な儲けを示す純損益が、1千億円近くの赤字に転落しそうだと発表しています。
記事にもあるように、日産はこれまでの拡大路線で新興国での生産を強化してきました。その一方で新型車の開発にかける投資を減らしたため、世界のほぼ全ての主要地域で販売が減ってしまう悪循環に陥っています。そのような状況の中、新型コロナウイルスの感染拡大による新車販売の急減が追い打ちとなりました。
赤字はリーマン・ショックがあった09年3月期以来11年ぶりとなります。
拡大路線からのシフト、さらには新型コロナウイルスによる自動車業界全体の不況がのしかかった今、果たして日産幹部は、追い出したゴーン氏以上の経営手腕をみせることはできるのでしょうか。
非常に厳しいと言わざるを得ませんね。
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