またしても自動車メーカーにおける不正が発覚しています。日産?スズキ?スバルもだっけ?マツダ?・・・もう良く分からなくなってきました。
ひとまず今回明らかになった不正を整理してみましょう。
目次
そもそも
不正発覚の連鎖は、2017年9月に発覚した日産自動車の無資格検査から始まります。そこから、メーカー各社に国土交通省から調査の指示があり、SUBARUでも無資格者による検査が判明。さらにスズキ、マツダ、ヤマハ発動機から完成車の抜き取り検査における排ガス試験での不適切な取り扱い、不正が明らかとなっています。
日産
前述したように日産では2017年9月、資格を持たない担当者による検査が発覚して以降、調査するたびに新たな不正が明らかになっています。
今回の不正
日産がまとめた調査報告によると、すでに判明している燃費や排ガスの測定データの改竄に加え、ブレーキ液残量の警告灯でも検査をしていなかったり、クラクションの音量データを偽ったりなど、新たに11の事案で不正を働いていました。
当初の社内調査では自らの検査不正を発見できていなかったことになります。
日産のニュースリリースページでは、不正内容の詳細が記されています。
https://newsroom.nissan-global.com/releases/180926-01-j?lang=ja-JP
原因は?
日産の報告には原因として、
1) 完成検査員の規範意識の鈍麻
2) 現場管理の不在
3) 完成検査員に対する不十分な教育
4) 完成検査員の人員不足
5) 不十分な設備
6) 車両製造工場管理の在り方
7) 車両製造工場のマネージメント層の在り方
8) 日産のコンプライアンス体制の不十分さ
9) 不合理な検査規格
10) 完成検査軽視の風潮
といった記載があります。企業風土というのは1日2日でどうこうできるものではありませんね。
影響は?
全ての事案につきまして、保安基準の適合性は確認しており、安全上の問題はございませんので、お客さまには継続しておクルマをご利用いただけます。生産も継続しておりますので、納車等でお待たせすることはございません。
出典:http://www.nissan.co.jp
スズキ
2018年7月9日付けの国土交通省からの確認指示を受け、燃費及び排出ガスの抜取検査に関し検査成績書や測定装置に残されているデータについて、関係者へのヒアリングを含め調査をしたところ、規定の走行モードに合わせられず車速が規定の範囲から逸脱し、その逸脱時間が許容範囲を超えた(「トレースエラー」した)ため本来無効とすべき試験結果を、有効なものとして処理した事案があることが判明しています。
今回の不正
スズキがまとめた調査報告によると、すでに判明している上記の燃費や排ガスの測定データの改竄に加え、排ガス検査においてトレースエラー(モード走行から一定以上外れてしまうこと)や測定条件の書き換えが新たに追加発覚しています。
スズキのニュースリリースページでは不正内容の詳細が記されています。
http://www.suzuki.co.jp/release/d/2018/0926/
原因は?
報告書には、
「業務量が多く再測定を行う余裕が無かった」
「再測定を実施すると仕事が増えて皆に 迷惑をかけるという雰囲気があった」
「再測定すると車両の納期が遅れ営業に迷惑をかけると考えた」
との現場の声が報告書に記載されています。少ない検査要員が膨大な完成検査に従事していた実態が浮き彫りとなっています。
影響は?
測定値の書き換えが出来ないよう測定装置を改修済です。したがって、トレースエラー及び測定値の書き換えの無い抜取検査結果により、 現在出荷している機種については、管理値を満たしていることを確認しております。今後出荷する機種についても、適正に抜取検査を行い管理値を満たしていることを確認して出荷して参ります。
出典:http://www.suzuki.co.jp
スバル
2017年9月に発覚した日産自動車の無資格検査を受けて、メーカー各社に国土交通省から調査の指示があり、SUBARUでも無資格者による検査が判明しました。
今回の不正
スバルは9月28日、上記の新車出荷前の検査工程をめぐる不正の原因などをまとめた調査報告書を国土交通省に提出し、発表しました。
その結果、ブレーキの性能やスピードメーターの誤差などの検査でも新たな不正が判明しています。燃費・排ガス測定の不正でも対象車が6月公表時の計1551台から1869台に拡大しています。
スバルのニュースリリースページでは不正内容の詳細が記されています。
https://www.subaru.co.jp/kensa/top.html
原因は?
報告書には、不適切行為が行われた理由・動機は多岐にわたるとしたうえで、その原因・背景として、
1)完成検査に係る工程処理能力に対して、過大な業務量が検査員に課されていたこと。
2)不適切行為を抑止し、早期に察知する内部統制に脆弱さがあり、検査員が容易に不適切行為に及びうる環境が存在したこと。
3)完成検査業務を担う部門の組織上の特性等を背景に、検査員の規範意識が著しく鈍磨していたこと。
4)完成検査工程の現状・課題に対する経営陣の認識、及びその改善に向けた関与が十分でなかったこと。
といった記載があります。
影響は?
国の保安基準は満たしており、リコール(回収・無償修理)の届け出の判断は再検証後に行う予定です。
まとめ
国内メーカーのみならず、自動車業界は空前の不正発覚ブームとなっています。怖いのは、「完成検査ぐらいならまあいいや」と我々ユーザー側が感じてしまうことです。表面的には企業体質を疑いますが、こうも立て続けに不正のニュースを聞いていると、「こんなもんなのかな」と思ってしまうのも事実です。
自動車メーカーの不正と言えば三菱ですが、リコール隠しが発覚した当時は「大企業がありえない!」という風潮でしたが、果たして今はどうでしょう?確かに不正の規模や悪質度は違いますが、大企業だから、日本企業だからといって完璧ではないと気づいているはずです。
「こんなもんか」で諦めるのではなく、こうした不正が起きないような仕組みを作るのは国の役割でもあるのです。