アメリカ合衆国の貨物運送会社 UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)は、新型電気宅配車の導入を検討しています。その車両から荷物を受け取ることは、最もカワイイ方法だと言えるでしょう。
目次
世界一可愛い配達車
世界的な配送会社「UPS」は、イギリスの「ロイヤルメール」が行っている新型電気配達車の試験運用に参加しました。そしてその車両の何とカワイイこと。
ロイヤルメールでおなじみ赤色、小柄で3.5トンのこの「アライバルバン」は、UPSのトレードマークであるブラウンにペイントされています。1回の充電で150マイル(240km)という十分な航続距離を持ち、軽量な荷物の運送に使用されます。
UPSはアライバル社とは2年の付き合いがあるとし、車両はUPS専用スペックで製造されることになるとしています。また、それぞれの視点に応じて、安全性を向上させドライバーの疲労を軽減するドライバーアシストや、ドライバーの動きを厳密に分析しストレスを感じ取る「ビッグブラザー」システムを備えるとしています。
巨大なフロントガラスのデザインはヒビなどの破損を考えると完全な悪夢のように思えますが、よりよい見晴らしが歩行者やサイクリストの安全のためにもよいとアライバル社はいいます。おそらく多くの人はこのバンの可愛さに夢中のあまり、フロントデザインを覚えることはまだ難しいことでしょう。
荷室スペースに妥協しないような小さなタイヤ。UPSブランドのバンは、会社が追加発注を決定する前にロンドンとパリで試験運用される予定です。3.5トン車、7.5トン車といった多様なサイズが開発されています。
UPSは既にテスラの「セミ」トラックを125台発注しており、UPSが1930年代に電気輸送手段を使用していたということは、どうしても指摘しておきたい。
出展:www.carthrottle.com
アライバル社とは
アライバル社とは、かつて「チャージオートモーティブ」という電気自動車の設計会社として知られていましたが、オックスフォードシャーに拠点を置く技術開発企業です。そのほか、アライバルはモーターや電気機器をAIロボットレーサーによる完全無人のレース「ロボレース」にも供給しています。
バンバリーにも新工場を持ち、このプロトタイプはそこで製造される予定です。全てのモデルはアライバル社のもつコア技術(モーター・電気機器等)をもとに超軽量材料を使用して作製され、都市での運航に最適な調整が行われています。
イギリス「ロイヤルメール」でも
前述したように、イギリスの郵便配達企業「ロイヤルメール」でのこの車両の試験運用を行っています。
このカワイイ宅配車は、おそらく日本のどの宅配車よりもデザイン的・環境性能的にも勝っていることでしょう。やはりヨーロッパのセンスが光ります。
日本メーカーの活躍は?
電気で動く貨物車両はここ日本に存在するのでしょうか?
三菱ふそうトラック・バス株式会社は2017年、世界初の量産電気小型トラック「eCanter」を世界市場へ向けて発表しています。既に米国、欧州、日本への納入を開始しており、2019年から一般のお客様向けに量産を開始する予定とのことです。
三菱ふそう eキャンター
車両総重量7.5トンクラス、1時間(直流急速充電)/9時間(交流230V)の充電で航続距離は100km以上です。電気駆動システムには、モーター(最大出力129kW、最大トルク420Nm)と、360V・13.8kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーパックを6個搭載し、従来のディーゼル車と比較して、走行1万キロメートルあたり、最大1,000ユーロのコスト削減を可能にしています。
実は米国において、UPS社に最初の「eCanter」を納入しています。
出展:www.freightwaves.com
UPS社では、持続可能な社会の実現を目指し、保有車両をゼロ・エミッショントラックに移行していく予定です。
「持続可能で革新的なソリューションを実現する技術に着目することは、当社のDNAの一部です。電気トラックはそのような技術の1つであり、当社が既に保有している8500台以上の代替ドライブトレインと同じくクリーンでかつ低騒音な環境を提供してくれるでしょう。UPS社はダイムラーと長年にわたり強固な関係を築いており、電気トラックの利点を追求する機会を持てることを光栄に思います」
UPS社、Global Fleet Maintenance & Engineering 役員カールトン・ローズ氏
出展:www.mitsubishi-fuso.com
日本メーカーもしっかり売り込みを行っているようで安心ですが、やはりデザインは不得意のようです。既存のものを改良するのは得意なんでしょうが、もうちょっと頑張って欲しいというのが個人的な思いですね。
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