自動車はクラッシュテストといった性能試験を実施し、その安全性が評価されています。
米国道路安全保険協会(IIHS)が行う性能評価試験では、毎年「TOP SAFETY PICK award」が発表され、総合評価が高いものには「トップ セーフティー ピック」、最高のものには「トップ セーフティー ピック+」の称号が与えられます。
しかし新型RAV4は残念ながら、この受賞を早くも逃してしまったようです。その理由はヘッドライトにありました。
ヘッドライトに頭を悩ませる
(和訳)
新型トヨタRAV4は次世代に向けて大幅なデザイン変更が行われましたが、それによって米国市場で最も切望されている安全にまつわる賞の1つを犠牲にしたかもしれません。
IIHSの「トップセーフティピック」を受賞することは、ただの安全な車と言う意味ではありません。ブランドマーケティングにおいて、非常に強力な武器となるのです。しかし、より多くの車両が伝統的な衝突試験を加速するにつれて、IIHSも試験をより洗練させています。その中でも、ここ最近で最も厄介な項目が「ヘッドライト」の試験です。
最近公開された試験結果によると、トヨタRAV4はクラッシュテストで「優」判定を得ています。これは「不可」「可」「良」に続いて最も良い評価です。先代モデルが「small overlap frontal test※1」にて「不可」であったことを考えると、大幅な改善であるといえます。
※1:速度40 mph における左端25%のオフセット前面衝突テスト
しかしながら、ヘッドライトによってRAV4はトップセーフティピックのノミネートを拒まれました。トップセーフティピック、またはトップセーフティピック+を得るためには「良」以上の評価が必要ですが、新型RAV4は「可」判定となりました。IIHSはロービームとハイビームを一定範囲のカーブと直線的な状態でテストし、各テストの設定距離における「最適な」照度に基づいてスコアを付けます。
RAV4のヘッドライトテストによると、「ロービームにおける直線状態では、視認性が左右に良好。カーブ状態では鋭く左右方向に普通、緩やかな左右方向に不十分」となり、「ハイビームにおける直線状態では、視認性が右方向に良好、左方向に不十分。カーブ状態では4方向全て不十分」という結果になりました。ハイビームにおける直線状態では、運転席側の視認性が最も不十分という結果でした。
RAV4の競争相手であるスバル フォレスターやマツダ CX5はトップランクであり、それぞれIIHSのトップセーフティピック+を獲得しています。ホンダCR-Vも「良」判定でトップセーフティピックを獲得しています。シボレー エクイノックス、起亜 スポルテージ、ジープ コンパスはそれぞれ「可」判定となり、受賞を逃しています。
・・・所感・・・・・・・・・・・・・・・
ヘッドライトの性能も安全性の評価対象となるのですね。確かに遠くまで明るく照らすことで暗い夜道でも安心して走行することができます。最近では自動でハイビームとロービームが切り替わる機能が搭載されてきていますが、ライト一つとっても非常に高度な技術を要する時代になっています。
試験項目は車の進化に従ってアップデートされ、より厳しいものになってゆきます。そうなるとその進化に乗り遅れた車は低評価となり、売れ行きにも影響してきます。莫大な開発費をかけて時代に合わせるのか、その費用をペイできるだけの魅力が残っているのか、そのあたりを総合的に評価して「無理」となったモデルが消え去っていくことになるのでしょうね。
環境性能も考慮していると、生き残る車種は本当に限られてくると思います。
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