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【トヨタ】WiLLブランドを覚えているか

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かつて、日本の異業種企業をあつめて一つのブランドを作ろうとしたプロジェクトが存在しました。その名も「WiLL(ウィル)」です。

おそらくウィルと聞いて最も思い出すのは、トヨタが過去に販売していた車ではないでしょうか。

目次

WiLLとは?

WiLL(ウィル)は、1999年8月2日から2004年7月にかけて行われた日本の異業種による合同プロジェクトで、商品の全てが「WiLL」のブランド名とオレンジ色のロゴで統一されていました。

WiLLという名称には生産者(企業)から明確な主張(意志=will)を発信し、それを生活者と共感することによって新たな市場、生活・消費の様式を生み出していくという意味が込められています。このことを“遊びゴコロと本物感”というフレーズにより表現していました。

参加企業

このプロジェクトへの参加企業は、花王、アサヒビール、松下電器産業(現パナソニック)、近畿日本ツーリスト、そしてトヨタ自動車の5社で開始され、その後2000年3月にコクヨ、同年6月に江崎グリコが参入しました。(その後、アサヒビール・花王は2002年7月にプロジェクトを脱退)。

WiLLの発起人はトヨタの社内部署「VVC(ヴァーチャル・ベンチャー・カンパニー」で、トヨタ社内から30名ほどの若手社員を社内応募であつめて立ち上げたのが始まりとなっています。

プロジェクトの特徴

1990年代に入り日本国内で顕著になってきた「従来の世代とは明らかに異なる価値観を持ち、異なる消費行動を取り始めた」生活者を「ニュージェネレーション層」と定義づけています。この20代から30代を中心とするニュージェネレーション層の消費スタイルは、企業がそれぞれに展開してきた従来のマーケティング手法ではなかなか捉えきれず、この層でのヒット商品が生まれにくい状況にありました。

それに合わせた商品開発、およびマーケティング手法の模索から生まれたのがWiLLであり、いわばマーケティングの合同実験なのです。

トヨタ自動車のWiLLブランド

プロジェクトの動向に準じて、トヨタ自動車もこれまでの車とは一味違ったモデルを展開しています。WiLLブランドでは以下の合計3車種の発売となりましたが、どれも個性的で、まさに「ニュージェネレーション」に向けたものであったと分かります。

WiLL Vi

ブランド第1弾として2000年に登場し、2001年末まで販売していた乗用車です。ヴィッツのプラットフォームを元に4ドアセダンで、かぼちゃの馬車をモチーフとしたスタイリングを特徴的です。

ニュージェネレーションということで20~30代の女性層をターゲットにし、実際のユーザーも意図した通りであったものの、極端な弓なりのウエストラインのせいで車両感覚がつかみにくく、車庫入れや縦列駐車をはじめ、狭い場所での取り回しが非常に難しいクルマとなり、それに関する不満も当時は少なくなかったようです。

たまーに今でも見かけてはギョッとします。

WiLL VS

ブランド第2弾として2001年から2004年まで販売された5ドアハッチバックです。先に発売されたWiLL Viとは異なり、全高は低く鋭い表情が与えられ、車の性格としては実用性よりも独特のスタイリッシュさに重きを置いています。

デザインコンセプトは「ステルス戦闘機」であり、指針のゼロが真下にくるメーターはレーダースコープ、チェンジレバーはスロットルレバー、ハンドルは操縦桿をイメージしてデザインされています。

メーターは今見ても斬新

特に後方に向かうにつれて小さくなるドアガラスは当時は賛否両論だったようです。

WiLL CYPHA(サイファ)

ブランドの自動車第3弾として2002年から2005年まで発売された5人乗りのハッチバックで、プラットフォームを初代ヴィッツと共有しています。

デザインコンセプトは「ディスプレイ一体型ヘルメット」。

WiLLの終わり

WiLLによる効果は参加企業の間でも様々で、家電量販店や自動車ショールーム店頭など従来に無い販路の開拓に成功した企業もある一方で、売上増に結びつかず目に見える成果のなかった企業もあります。

また、対象世代が就職氷河期世代であったことやITバブル崩壊後の経済情勢も不利に働いてしまいました。参加企業間の温度差もあり、2004年にプロジェクトは事実上の瓦解となります。

しかし「有名企業同士の強者連合による企画でも、必ずしも大成功するわけではない」という大きな教訓を残したプロジェクトでもあります。消費者は「ブランド」で購入するとマーケッターは思いがちですが、実際の消費者は商品実物を手にとって判断を行うということが再認識されました。

トヨタのWiLLブランドに関しては、2004年6月にはカローラ店に同じクラスのパッソの登場、さらには2005年2月にヴィッツがフルモデルチェンジしたことで、WiLLプロジェクト終了と同時にブランドの販売が終了となりました。

しかし個人的には若者だけをターゲットにした車づくりは良い試みであったと思います。当時のトヨタ車は今ほどデザインが奇抜ではなかったため、上記の3車種についてはどれもその個性が光ります。

アルファードも当時は落ち着いていた

ライフスタイルの変化は時代によって存在し、それはこのプロジェクトが発足した時点でも「ニュージェネレーション」として扱われたのと同じです。

では今の時代はというと、現代の若者は流行りに飛び付かず、わが道を行くタイプの人が増えてきたように感じます。裏を返せば興味のあることだけに時間やお金を費やす。一般的に「欲がない」と言われている2010年代の若者を「さとり世代」とも言うように、自動車に対する明確なニーズというニーズは存在しないとすら感じます。

車に興味がなければその時点でいくら若者にターゲットを絞っても仕方ないのではないか。仮に若者が好む車が時代と逆行していた場合、自動車というカテゴリーにおいてはその望みを叶えることはほぼ不可能です。そういった中で若者の興味を引き付けるような車を開発するために時間とお金をかけても、興味を持ってもらえるかすら分かりません。実際このWiLLシリーズも販売面では苦戦していました。

若者の車離れといいますが、自動車は「遅れている」と思われないように時代に合わせて様々な装備が取り込まれていきます。その時代のスピードに若者が追いついてきておらず、むしろ途中で悟りに入って多くを求めなくなってしまっているのですから、魅力を感じるはずがありません。

最低限の装備でも安っぽくなく、安い車。

昔、無印良品からも自動車が販売されていたことがありましたが、それくらいのもので十分なんだと思います。

いまもWiLLブランドは生きている

最後に、プロジェクトが終了して14年経ってもなお生き残っている「WiLL」ブランドをご紹介しましょう。

コクヨが販売する文房具の一部が現在もWiLLブランドとして販売を継続しています。文房具関連部門が企画・製造・発売を主導する唯一現存する商品ラインナップです。

・WiLL STATIONERY ACTIC
・WiLL STATIONERY COOL
・WiLL COSMiCFiZZ

http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/will/actic/index.html

ホームページによると、生産が終了した製品がありながらも確かに存在しています。(見かけたことはない気がしますが・・・気にとめてないだけでしょうか)

 

 

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執筆者:


  1. つかまさあは より:

    道路を歩いていてWILLの車を見かけて「WILLブランドで車、チョコレート、ビールなどあったな」と思い出しました。今WILLブランドで今も利用者がいるのは車なので2004年に終了したなら車検切れは20年なので2024年にWILLブランドの車はすべて廃車になりWILLブランドを見れなくなると思います。

    • クースキー より:

      すっかり見かける機会が減りましたが、たまに見かけてはギョッとしますね。
      車検は通りさえすれば何年でも乗れますので、今でも乗っているオーナーはそれだけ愛着があるということでしょうから、
      意外と乗り続けてくれると思います。

  2. さめあはな より:

    当時幼稚園児だったいとこにWILLオンタイムチョコレートをあげたためかWILLのビールをチョコレートドリンクと間違って飲んじゃったときありました。WILLブランドは危険だったと思います。

    • クースキー より:

      そういう危険性もあったのですね。
      ここまで大規模な異業種合同プロジェクトはもうでてこないと思います。

      • さめあはな より:

        そのためか最近お酒の缶に「お酒」と読み仮名付きになったんですね。下手すりゃWILLのクリアミストもチョコレートドリンクと間違われたかもしれません。

  3. より:

    車検が20年で切れるとは何処の国のことですか?
    3年2年でずっと乗れますよ。
    供給パーツのことをいっているのでしょうか?
    それでも即廃車とはならないでしょう。

  4. からふあ より:

    コクヨのWILLのシャープペンを使っていて今は使わなくなったがとっといています。芯だけ入れれば使い続けられます。

    • クースキー より:

      それは貴重ですね!
      気になったのでコクヨのホームページを見てみましたが、WILL製品はどれも在庫なしでした。
      車の方も今でもたまに見かけますが、是非末永く使い続けてもらえればと思います。

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