トヨタ自動車は同社が誇る最高級セダン「センチュリー」を21年ぶりにフルモデルチェンジし、3代目となる新型センチュリーを初公開しました。
本記事では、先代のセンチュリーとコンセプトの内容を踏まえ、どのように進化したのかお伝えいたします。
目次
トヨタの最高級車センチュリー
トヨタのフラッグシップモデルであるセンチュリー。
21年ぶりのフルモデルチェンジが行われました。発表は2017年10月頃といわれていたので予想通り公開となりました。発売は2018年3月頃と言われており、2017年秋に開催される東京モーターショーにて一般公開となります。
さっそくその姿を見てみましょう。
フロント
リア
サイド
出展:autoc-one.jp
新型のデザイン
エクステリアのデザインは一目でセンチュリーと分かる、キープコンセプトとなっています。
最近の自動車は高級車含め、滑らかかつ鋭いフェイスが主流ですが、キープコンセプトなため新型センチュリーは他に比べ非常に落ち着いたデザインです。
新型が公開される前、ヒントとして2012年に開催された東京モーターショーで関東自動車工業が出展していた「FSハイブリッドコンセプト」と呼ばれるコンセプトモデルがあります。この会社は、アクアやカローラ、レクサスのGSなどを開発・生産しています。
このモデルが、次期センチュリーのイメージと言われていました。比べてみると多くの点で新型の要素を見ることができますね。
出展:response.jp
ちなみに新型センチュリーに関しては自分も予想デザインを描いていました。(といっても理想像かもしれません)
いろいろ予想イメージは出ていましたが、フロントに関してはコンセプトカーよりは似ているのではないでしょうか?
先代との比較
ちなみに2代目であるG50系センチュリーは2016年10月で既に受注を終了しております。
出展:toyota.jp
先代のG50系センチュリーにはV12エンジン(1GZ-FE型 4,996 cc V型12気筒DOHC VVT-i)が搭載されていましたが、フルモデルチェンジに伴い、環境、燃費に考慮した5.0L V8型エンジン(2UR-FSE型)にハイブリッドシステム(THSII)を組み込んだハイブリッドへと変わります。低燃費・高出力化を実現するトヨタの直噴技術「D-4S」を採用し、クラストップレベルの低燃費を実現しています。
しかしこれにより国産V12エンジンが消滅することになります。少々悲しいですね。
では公開された新型センチュリーはこの古き良き日本の高級セダンの面影を残しているのでしょうか。改めて比較してみましょう。
フロント
出展:toyota.co.jp、autoc-one.jp
威厳のある風格はそのままに、近代化されました。バンパーはボディと一体化し、より滑らかになっています。画像を見比べる限りでは、サイドウインカーが廃止されたようですね。ヘッドライトにはプロジェクター式ヘッドランプ3灯とLEDアレイAHS(Adaptive High beam System)を採用しています。
気になるのはフェンダーミラーが生き残っているかどうかです。昨年公開されたトヨタの新型タクシーではフェンダーミラーが選択可能になっています。もちろんフェンダーミラー自体は規制の対象にはなっていないので、使用することは可能です。
この新型センチュリーにも採用されることでしょう。
サイド
出展:toyota.co.jp、autoc-one.jp
公開された情報によると、新型センチュリーは全長:5335mm×全幅:1930mm×全高:1505mm、ホイールベース:3090mmとなっており、先代のセンチュリーと比べると以下のようになります。
先代センチュリー | 新型センチュリー | |
全長 | 5,270 mm | 5,335 mm |
全幅 | 1,890 mm | 1,930 mm |
全高 | 1,475 mm | 1,505 mm |
ホイールベース | 3,025 mm | 3,090 mm |
全長65mmUP、全幅40mmUP、全高30mmUP、ホイールベース65mmUPと全体的に一回り大きくなりました。
横から見た感じでは、プロポーションや雰囲気はほとんど受け継がれていることが分かります。ホイールデザインもセンチュリーにふさわしい高級感をそのままにしています。ちなみに最近のセダンのプロポーションの例として、トヨタクラインロイヤルがこちらです。
出展:toyota.co.jp
比べてみるとセンチュリーの個性がよくわかりますね。古き良き時代のプロポーションをそのままに、クラウンよりもどっしりとした印象を受けます。その要因としてリアにかけて低くなるトランクポジションが車としての一体感を生み出しています。
リア
出展:toyota.co.jp、autoc-one.jp
リアデザインも継承されています。うまく踏襲されていて惚れ惚れしますね。これぞ「デザイン」だと思います。同じトヨタとは思えない・・・。
若干丸みを帯びましたが、それでも唯一無二の存在感を感じます。
気になるポイント
先代のセンチュリーは、スイッチ類の表記がほぼ全て日本語でした。これはセンチュリーの利用者が社会的に高いクラスの厳格な、いい意味で「純日本人」が多いことと、輸出を想定していないことが理由として考えられます。新型ではそのあたりがどうなっているのか気になるところです。
出展:d.hatena.ne.jp
Toyota Safety Sense P を装備
先代のG50型センチュリーでは、エアバッグ以外にこれといった安全装備は搭載されていませんでした。今回の21年ぶりのフルモデルチェンジということで、先進安全装備を搭載し、大幅に安全性が向上しました。
搭載されるのはToyota Safety Sense Pです。
これは先進の歩行者検知機能を搭載した衝突回避支援パッケージであり、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した高精度な検知センサーによりクルマだけではなく歩行者の認識も可能になり、事故の回避や衝突被害の軽減を支援してくれます。
主に下の4つの機能が搭載されています。
・プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援型)
・レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)
・オートマチックハイビーム
・レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付/全車速追従機能付)
現行クラウンにも搭載されているこの先進安全装備がセンチュリーにも搭載されます。その他にもブラインドスポットモニター、リアクロストラフィックアラートなど最新安全装備を採用しています。
価格は?
価格は現在未定ですが、先代のG50型センチュリーの価格はおよそ1250万円でした。これがハイブリットモデルになることで約300万円程値上がりの1500万円前後と予想されます。
これは現在のトヨタのラインナップの中で最も高価であり、レクサスの現行LS600hLを超える価格となっています。
出展:lexus.jp
センチュリーは政治家の公用車として広く用いられていますが、近年は「高価な大排気量車」による公費浪費の批判を避けるためや、維持費用節約のためセンチュリーを売却し、ハイブリッドカー等の低公害車、あるいは輸送力で勝る大型ミニバンで代替する事例が増えています。
内閣総理大臣専用車においても、従来のセンチュリーと併用する形で2006年(平成18年)よりLS600hLが導入されています。
ですがこの新型センチュリーはハイブリッドなので、その必要はなくなりそうです。ひょっとすると今よりももっとセンチュリーを見かけることが多くなるかもしれません。
トヨタを代表するフラッグシップ、すなわち日本を代表する高級車だと世界に自慢できる。そんな車に仕上がっていると感じました。