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ユーロNCAP フィアットプントにゼロ星評価
ユーロNCAPが行った安全性に対する試験の結果、フィアットのプントにゼロ星評価が下されました。これはユーロNCAP始まって以来の出来事だそうです。
出展:autoexpress.co.uk
フィアットプントは2005年に販売を開始しており、「車体が今の時代にあった安全性を持っているか」を調べるためユーロNCAPが行う定期評価で明らかとなりました。同年代の他車に比べて大きく後れを取っていたのです。
ユーロNCAPはヨーロッパで実施されている自動車安全テストです。ゼロ星の理由としては、自動ブレーキのようなキーテクノロジーがないことによるクラッシュパフォーマンスの低スコアが原因であるとしています。また、セーフティーアシスト分野の試験でも0%を獲得し、これもユーロNCAP始まって以来の低スコアとなります。
搭乗者に対する安全性は大人51%、子供43%、歩行者に対しては52%といったスコアで、5つ星を獲得しているフォルクスワーゲンが各スコアで96%、85%、76%と評価されていることを考えると、相当低いことが分かります。
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ユーロNCAP評価の重役であるアビー氏は、プントが危険な車ではないとしながらも、「11,000ポンドからの価格は、1つの安全につき1ポンドとみると決していい買い物ではない。」と言い、「物事は移り変わっている」としたうえで、プントが初めてテストされた2005年以来、「サイドエアバッグのような基礎的なパッシブセーフティシステム」や「むち打ち保護機能」、「自動ブレーキのような先進システム」が使えないことに言及しています。
一方でフィアットが今後どうすべきかについては、会社がプントの設計段階まで立ち戻るべきだとしています。フィアットはどうしたら5つ星を獲得できるか知っているはず(フィアット500Lは好評価)なので、もっと良くなることはできると語っています。
初めてテストされた2005年では、試験条件が違うといってもプント(グランドプントと呼ばれる3代目)は搭乗者に対する安全性で大人5つ星、子供3つ星を獲得しています。アビー氏は「ユーロNCAPは進歩しているが、プントに関しては進歩していない」としています。
この結果に対してフィアットの担当者は「FCAグループとして安全は最優先だと考えており、12年前にプントが発売された時はユーロNCAPでこのクラス初の5つ星を獲得しています。FCAグループが考える安全性に対する重要性は、多くの新モデルによって実証されています。例としてアルファロメオジュリアやステルビオ、ジープコンパスなどは5つ星を獲得しています。」
まとめ
当時は安全でも今安全ではないと評価されるのは、それだけ安全が当たり前になっている証拠です。自動ブレーキやエアバッグが当たり前になりつつあっても、商用車やグレードの低いものは搭載されていなかったりします。
そのような状態において、国土交通省が「自動ブレーキ」の搭載義務化に向けて既に動き出しています。多発する高齢ドライバーによる事故対策の切り札になるとして、国連の作業部会に国際的な性能基準づくりを提唱しています。
国交省によると、2015年に生産された新車の45.4%に搭載されているものの、搭載は任意のため統一的な安全基準はなく、メーカーや車種によって性能に大きな差があります。
国際基準が策定された場合、国交省はそれを新型車販売の条件にするように法令を改正し、最終的に全車への搭載を義務づけたい意向です。
いずれは自動ブレーキも搭載率が100%になるでしょう。その他にも搭載を義務付けるような安全装備と呼ばれるものは数多くありますが、自動車の安全性が完璧な状態とは一体どういうことをいうのでしょうか。そもそもその安全性においてはどこをゴールにしているのでしょうか。
自動ブレーキの義務化も高齢ドライバーの事故対策が名目となっていますが、高齢者の事故が全くない世の中だった場合、こういう考えには至らなかったということでしょうか?
その通りだと思います。事故が起きるから安全な自動車を目指すのです。事故が起こる「おかげ」で自動車が進化しているともいえます。やがて事故の起こらない未来が来たとしたら、それは自動車が理想郷に達したということでしょう。自動運転技術はまさにそれを目指す始まりです。そう考えると我々は、その過渡期で比較的楽しい時期にいるのかもしれませんね。
あくまで自論ですが、やっぱり安全性ばかりを追求して車本来の楽しさを失うのはやめてほしいです。メーカーにとっても規制を満たしながらの開発は大変でしょうが、是非そのあたりを考えてほしいものですね。