ジープといえば日本国内で最も成功しているアメリカ車なのではないでしょうか。その本格的な走破性と唯一無二の個性が今でも多くの人を引き付けています。
そのジープから新たに「ピックアップ」モデルが発売されるという噂があります。その名も「Scrambler:スクランブラー」です。
本記事ではその中身についてできる限りお伝えしたいと思います。
目次
ジープスクランブラーとは
1981年から1986年にかけて製造されていたジープCJ-7のロングホイールベースバージョンとして同年発売されていたジープCJ-8のことを言います。ホイールベースは103インチ(2,616mm)、荷台部分のカバーが取り外し可能なため、小型ピックアップのようなスタイルとしてデビューしました。4速/5速マニュアルトランスミッションを備えており、オプションとしてオートマチックも選べたようです。
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「スクランブラー」という言葉はCJ-8のとあるパッケージの名前からきており、テープによるデカールや特別ホイールを履いたモデルのことでした。アメリカ合衆国元大統領のロナルド・レーガン氏もこのCJ-8を所有しており、カリフォルニアにある自身の牧場で使用していたとのことです。
右ハンドル、オートマチック、スチールハードトップ仕様のCJ-8もアラスカ郵便局向けに製造されており、リアテールゲートの代わりに引き戸となっていました。通称「ワールドキャブ」と言われるこのモデルは、アメリカ国内でわずか230台のみ販売されましたが、ベネズエラやオーストラリアでは「CJ-8オーバーランダー」として幅広く販売されていました。
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新型スクランブラー
そんな意外と歴史のあるスクランブラーが「復活」するというのが今回の話題です。現在販売されている「ラングラー」のピックアップバージョンとして販売されるという噂がアメリカ国内にはあり、2018年度中といわれています。
ラングラーのピックアップで画像検索すると多くヒットしますが、実は公式に製造されたものではなく、多くがカスタムとして改造されたものです。ラングラーのピックアップは「意外と無かった」のです。
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こちらはその開発段階のテスト車両の写真ですが、ほぼイメージ通りの見た目となりそうです。見たところピックアップダブルキャブ仕様のラングラーといったところで、ホイールベースが延長されているのが分かります。
ベースとなるのは、開発が進むラングラーの4ドアモデル、「アンリミテッド」次期型で、コードネームは「JT」とされています。
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こちらはイメージCG画像ですが、ジープの風格と相まって非常に道具感があります。
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これまでにあったコンセプト
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こちらの画像は2005年に発表されたジープ「グラディエーターコンセプト」です。クライスラーのCEO、セルジオ・マルキオーネ氏は当時「市販化される可能性は5割以上だ」と語っていました。しかし同じクライスラーグループのダッジがピックアップの「ラム」を展開するにおいて、ピックアップに似たモデルをジープから発売することに不満を抱いていたことが影響したのか、発売はされませんでした。
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こちらもジープが2012年に発表した「J12」というコンセプトカーです。1962年から1971年まで製造されていた「グラディエーター」のデザインを踏襲したレトロフューチャーなコンセプトカーでしたが、こちらもコンセプト止まりで発売されることはありませんでした。
よってジープのピックアップ市場への投入は1986年から1992年まで製造していたジープコマンチ以来、実に25年振りとなります。
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スクランブラーのスペックは?
スクランブラーは前述の通り、ラングラーの派生モデルとして展開が予想されます。その新型ラングラーはおよそ10年ぶりとなるフルモデルチェンジを受けLAモーターショーに登場しました。
新型ラングラーのパワートレインには、現行型のV6エンジンに改良を加えたもののほか、アイドリングストップ、電動アシスト、回生ブレーキなどの機能を備えたマイルドハイブリッドシステム「eTorque」を搭載した2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジン、さらにV6エコディーゼルエンジンがラインナップしています。
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V6エンジンは3.6Lガソリンモデルと、3.0Lエコディーゼルモデルの2つとなり、エコディーゼルは2019年からのリリースを予定しているそうです。
いずれもエンジンに8速ATを組み合わせ、アルミ素材のプラットフォームによる軽量化も手伝い、現行型の7.5km/Lという燃費性能を大幅に改善することが期待されています。
スクランブラーのスペックもこれに近いものが予想されます。
2018年前半にもワールドプレミアが期待出来そうです。
ピックアップブーム来るか?
日本では人気がいまひとつなピックアップですが、メルセデスベンツもピックアップの「Xクラス」を投入するなど、高級ピックアップ市場が今後拡大していくことが予想されます。
海外では日本メーカーも軒並みピックアップをラインナップしていますが、国内での販売は限られています。日本国内で久々に発売されたピックアップとしてはトヨタの「ハイラックス」があります。
以外にも売れているらしく、今後の反応次第では各社ともにピックアップを国内に導入する可能性もゼロではありません。海外で作っていれば持ってくるのは簡単です。
しかしピックアップの場合、スペース効率や燃費、居住性といった観点からファミリーカーとしての購入リストには入らないでしょうし、あくまで「遊びの車」もしくは「仕事の車」としてのイメージが強いのが現状です。
そんなピックアップが急に高級化したところで、国内のユーザーには魅力的ではないでしょうから、このスクランブラーについても日本での販売は行われないというのが現時点での予測です。
ちなみにスクランブラーの販売価格は少なくとも3万ドル、日本円にしておよそ333万円と予想されており、これは競合他車と比べて若干高額になります。日本に輸入となると+100万円といったところでしょうか。なかなか現実的ではないですね。
しかし拡大する市場なのは確かなので、日本人には見えないところで日本メーカー含め各メーカーがしのぎを削っているわけです。そんなピックアップの市場にも注目していきたいですね。