自動車大手7社の2018年3月期連結決算が出そろいました。
世界販売の増加や円安による輸出採算の改善で、営業利益はトヨタ自動車やスズキなど4社が前期を上回り、中でもトヨタの最終利益は過去最高を更新しました。その他ホンダは初めて1兆円を超え、スズキも過去最高となりました。
目次
自動車大手7社 2018年3月期連結決算
※単位は億円、カッコ内は前期比増減率%、▲はマイナス。-は比較できず
メーカー | 売上高 | 営業利益 | 最終利益 |
トヨタ | 29兆3795(6.5) | 2兆3988(20.3) | 2兆4939(36.2) |
ホンダ | 15兆3611(9.7) | 8335(▲0.9) | 1兆593(71.8) |
日産 | 11兆9511(2.0) | 5747(▲22.6) | 7468(12.6) |
スズキ | 3兆7572(18.5) | 3741(40.3) | 2157(34.9) |
マツダ | 3兆4740(8.1) | 1464(16.5) | 1120(19.5) |
スバル | 3兆4052(2.4) | 3794(▲7.6) | 2203(▲22.0) |
三菱自 | 2兆1923(15.0) | 982(約19.2倍) | 1076(-) |
要因
トヨタ
前期の連結グローバル販売は0.1%減の896万4000台となった。主力の北米と日本がいずれも1%減だったが、『C-HR』などが好調な欧州は5%増と堅調な伸びになった。また、過去最高だった中国を含む総小売台数は2%増の1044万1000台とプラスを確保した。さらに同期の為替レートは1ドル111円で、前々期から3円の円安となり、営業損益段階で2650億円の増益要因になった。
この結果、営業利益は前年同期比20.3%増の2兆3998億円、純利益は36.2%増の2兆4939億円と、いずれも2期ぶりの増益だった。米国の法人税率引き下げに伴い、純利益には金融子会社の繰延税金負債の取り崩しによる一時的利益が約2500億円反映された。純利益は従来の最高だった16年3月期の2兆3126億円を上回っている。
ホンダ
すべての事業における増加や為替換算による増加影響などにより、売上高は前年度比9.7%増の15兆3611億円と、2年ぶりの増収となった。
営業利益は、インドやベトナムなど主にアジアにおける二輪車の好調な販売やコストダウン効果などはあったものの、販管費の増加、集団訴訟和解金や前年度の年金制度改定影響などにより、同0.9%減の8335億円。2年度ぶりの減益となった。
日産
完成検査問題による失速を第4四半期で挽回し、売上高は前期比2.0%増の11兆9512億円で、2期ぶりの増収。
米国の販売会社の在庫調整を含む販売費の増加、原材料価格の高騰などにより、営業利益は同22.6%減の5748億円で2期連続の減益となった。
経常利益は同13.2%減の7503億円。純利益は米国の税制改革法による法人税等の減少によ、同12.6%増の834億円となった。
スズキ
売上高は同18.5%増の3兆7572億円で2期ぶりの増収。国内売上高は四輪車販売の増加等により同7.6%増の1兆1167億円。海外売上高はインド、欧州等での四輪車や二輪車の販売増等により同23.8%増の2兆6405億円となった。
営業利益は、アジア、日本、欧州での損益改善等により同40.3%増の3742億円。
経常利益は同33.5%増の3828億円、純利益は同34.9%増の2157億円。各利益項目ともに3期連続の増益となった。
マツダ
台数増加や為替相場の円安影響により、売上高は前期比8.1%増の3兆4740億円で2期ぶりの増収。
営業利益は、米国での出荷台数減少や販売費用増加もあったが、為替影響やコスト改善などにより、同16.5%増の1464億円で2期ぶりの増収となった。
スバル
営業利益は同7.6%減の3794億円。為替変動による増益影響があったものの、米国の金利上昇に伴う販売費の増加、原材料市況等の影響および試験研究費の増加などで2期連続の減益。
経常利益は同3.7%減の3799億円、純利益は、エアバッグ関連損失引当金813億円を特別損失として計上したことなどから同22.0%減の2204億円、2期連続の最終減益となった。
三菱
売上高は同15.0%増の2兆1924億円と2期ぶりの増収。
営業利益は前年同期の51億円から982億円に増加し、営業利益率は4.5%となった。
経常利益は222億円から1101億円へ、燃費不正問題の影響を受けて1985億円の赤字となっていた純損益は1076億円の黒字となった。