7月30日午後5時過ぎ、北海道のJR千歳線の踏切に高さ制限を超えたトラックが無理やり侵入し、架線に接触する事故が起きました。
接触の瞬間 出展:response.jp
北海道のJR千歳線の踏切に高さ制限超えたトラックが無理やり進入し架線を傷つけた。その瞬間の映像が公開された。
踏切に設置されたカメラがとらえた映像-。荷台に重機を載せ、高さ制限を超過したトラックが無理やり、踏切に進入し、重機の先端が2万ボルトの電圧がかかる架線に触れた。その瞬間、火花が車両全体を走り、タイヤも一瞬にしてパンクしてしまった。さらにトラックはもう1本の架線にも触れ、さらに火花があがった。
事故は30日午後5時過ぎに発生。この影響で、空港と札幌市内を結ぶ快速列車など61本の列車が運休。約1万5000人に影響が出た。
JR北海道は踏切事故をなくすために、無理な踏切通行はせず踏切手前での一旦停止や安全確認など、基本的な交通ルールを守って欲しいとしている。
出展:http://www.news24.jp
この事故を見て架線から給電するバス「トロリーバス」を思い出しました。
トロリーバスは有名ですが、実はこのトラックバージョンが存在します。バスは路線が決まっているため架線からの給電が安定的に行えますが、トラックの場合はどういうものなのか、お伝えいたします。
目次
トロリートラックとは?
トロリートラック とは、道路上空に張られた架線から取った電気を動力として走るトラックです。
概要
トロリートラックは路面電車とトラックの長所を併せ持つ輸送手段で、軌道の敷設が不要で排気ガスを出さないなどの長所を持っています、しかし給電線の容量により、運行台数が制限されたり、前方を走る車両の追い越しが困難であるなどの欠点も併せ持ちます。そのため鉱山やトンネル工事現場などの、閉鎖環境下で空気の汚染を避ける必要のある場所で運行されます。
走行できる道路が架線のある道路に限られるので一般的な建設現場では適していません。ですが専用道路を走行するのであれば、自動運転化することで無人輸送も可能になります。
採掘現場での例 出展:hutnyak.com
利点
- タイヤで走行するので登坂力があるため、急傾斜、急勾配の運行が可能で路線の設定の自由度が高い。
- 急曲線も可能で加速度を大きくすることができる。
- 燃料消費が抑えられ、CO2排出量も抑えることができる。
欠点
- 架線の敷設により路線が限定される。
- 転がり抵抗が鉄車輪よりも大きいので重量物の運搬には消費するエネルギーが大きい。
- 専用のトラックが必要
トロリートラックの最新動向
上の写真はいかにも古いものですが、2016年にスウェーデンが公道において世界で初めて電気トラック向けのEハイウェイを試験的に導入しています。
出展:siemens.com
Eハイウェイとは、路面電車のように架線を設置して専用のトラックを走らせるもので、スウェーデン政府がストックホルム北部のE16ハイウェイに開設した軌道を、2台のディーゼルハイブリッドトラックが走行しています。試験期間は2年間です。地元のトラックメーカーのスカニアとドイツのシーメンスの協力を得て実現しました。
架線から電気を引き入れるパンタグラフは折りたたむことができ、電気の供給を受けたり止めたりできる仕様になっており、Eハイウェイを走るトラックは路面電車とは違い、架線がない場所ではパンタグラフを降ろし、ディーゼル燃料で走行することができます。
これにより燃費は従来の半分に削減することができます。
▶Sweden’s Trolley System-Like eHighway Will Reduce Air Pollution-Futurism
ある意味ガソリンと電気のハイブリッドですが、確かに中距離の確定したルートを走行するのであれば、このEハイウェイシステムはCO2削減に有効だと言えます。日本での実用例はありませんが、近い将来目にすることになるかもしれませんね。