働き方改革が大きく掲げられ始めた昨今、労働基準法順守への取り組みが活発化しています。
ですが勤務中の移動時間に対する考え方は会社ごとに意見が異なるのも事実です。今回は勤務中の異動、とりわけ車を運転している時間が原因で過労死をしたと訴える、社員の遺族に与えられた結論をみてみましょう。
車の運転は労働時間に当たらず 遺族の労災申請を認めず
長時間、車を運転して取引先を回っていた横浜市の会社員が過労で死亡したとして遺族が労災を申請しましたが、車の運転は労働時間に当たらないとされ、労災とは認められませんでした。遺族側は「働き方改革の一方で、会社の外での労働時間が切り捨てられている」と批判しています。
遺族や弁護士によりますと、横浜市にあるクレーン車販売会社の営業社員で、3年前に心臓疾患で死亡した当時26歳の男性は、会社の車を運転して東北から東海まで12の県の取引先を回っていました。
ほぼ毎日会社に寄らず、自宅から直接、取引先に向かい、日によっては10時間以上運転していました。
遺族が、長時間労働による過労死だとして労働基準監督署に労災を申請しましたが、運転は労働時間に当たらないとされ、先月、労災とは認められませんでした。
また、千葉市の建設設備会社の支店で支店長として勤務し、おととし脳疾患で死亡した当時55歳の男性についても過労死だったとして労災を申請しましたが、車の運転や接待など会社の外での業務が労働時間とされず、同じく先月、労災は認められませんでした。
記者会見を開いた川人博弁護士は「会社内での働き方改革が進む一方で、会社の外での労働時間が切り捨てられている。厚生労働省はこれを規制すべきなのに逆のことをして助長している」と批判しています。
厚生労働省は「車の運転を労働時間とするかは個別の事例ごとに判断している」としています。
車の運転は労働時間に当たらないという結論が出されていますが、会社がどういう扱いをしていたかが気になるところです。
しかし車で10時間以上運転をしなければならないような働き方自体が、おかしいと言わざるを得ません。そういった働き方が当たり前となっていた場合、この運転時間も労働時間に含まれるべきだと感じます。
出張や外回りで勤務中に車を運転することがある人も多いと思います。こういった状況にもし陥った場合、どういった扱いをされるのか今一度確認しておくのが良いかと思います。