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タクシーといえば
日本のタクシーと言えば、ご存じトヨタ:コンフォート。
日産セドリックやクルーと違い、最も普及しているこのコンフォートですが、
その後継車の登場が迫っています。
発売は2017年10月予定。全国のトヨタ店、トヨペット店を通じて販売し、法人だけでなく個人事業者にも販売される予定です。
クラウンコンフォート 出展:wikipedia.org
コンフォートは1995年トヨタ自社ブランドの小型タクシー専用車として、中型タクシー専用車の姉妹車のクラウンコンフォートとともに発売されました。
ちなみにこの現行コンフォートは2017年5月25日で既に販売を終了しております。
次世代タクシー
トヨタは、生産が終了したコンフォートに変わるタクシーの開発を進めています。
こちらの画像は2013年に開催された東京モーターショーでトヨタが発表した
「JPNタクシー」と呼ばれるコンセプトモデルです。
出展:toyota.co.jp
出展:toyota.co.jp
次世代の日本のタクシーとしてシエンタをベースに開発されたこのモデル。これまでのコンフォートと大きく変わり、ミニバンタイプとなりました。
これにより室内空間が大きくなり、大柄な外国人なども難なく乗り降りすることができ、荷物も載せやすくなります。また、後部座席へのアクセスは歩道側がスライドドアとなり、スムーズかつスペースをとらない開閉が可能になります。
2016年12月には、タクシー業界向けの説明試乗会が行われました。詳細な車両データについては正式に公開されていませんが、ほぼ市販できる状態の車両が公開されています。こちらは「上級グレード」。
出展:car.watch.impress.co.jp
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コンセプトと比べていくらか穏やかになりました。タクシーおなじみのフェンダーミラーもデザインにうまく溶け込んでいます。どことなくコンフォートよりも上級の「クラウンセダン」を感じさせます。
出展:toyota.co.jp
また、「標準グレード」も公開されています。こちらは白ボディーに樹脂バンパー、フェンダーミラーも樹脂製となっています。
出展:car.watch.impress.co.jp
出展:car.watch.impress.co.jp
あまりこういう車の樹脂バンパーを見ることはないので新鮮ですね。シンプルで実用的なので販売の大半をこちらが占めるかと思います。
ですが個人的にはもっと古き良きセダンのスタイルを残してほしいところ。ということで勝手に理想像を描いてみました。
まあコンフォートとして誕生するわけでもないので、デザインが踏襲される必要はないのですが、やはりどこかその要素を残してほしかったですね。ありきたりのミニバンみたいに見えちゃうよりかは、思い切ってコンフォートぐらい角ばったデザインでも良かったのかなと思います。
インテリアも90年代のままだったコンフォートと比べて大きく変わります。
助手席に乗る乗客とを仕切るようにセンターコンソールが置かれ、シートも運転手と乗客では明確に区別されており、助手席でもプライベートな空間を生み出しています。
また、ステアリングの右側にハザードランプスイッチが設置されており、乗降の際に素早く押すことができます。
出展:car.watch.impress.co.jp
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後部座席も空間が大きくとられ、窮屈さを感じません。高いルーフとスライドドアにより、セダンではできなかったスムーズな乗り降りが可能となります。
さらに後部座席は折りたたむことができ、車いすのまま乗り込むことも可能です。
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックによりインバウンド需要の増大が予想されており、さらにこれからの超高齢化社会と向き合っていくためにも、誰でも障害なく利用できる「ユニバーサルデザインタクシー」の普及が必要だとトヨタは考えています。もちろん環境への影響も考慮されています。
※インバウンド(INBOUND)需要:海外からの訪日客による需要の事
パワートレーンも一新
パワートレーンには「LPG(液化石油ガス)ハイブリッド」を採用しています。これによりコンフォートのタクシー仕様車と比較して飛躍的にCO2の排出量を減らすことができます。
また、FFとなることで後部座席を貫くようなシャフトが無くなります。
トランスミッションに関しては詳しく分かっていませんが、コンフォートで選択可能だったMTの設定は安全装備の都合上廃止される可能性が高いです。
Toyota Safety Sense C を装備
コンフォートには、エアバッグ以外にこれといった安全装備は搭載されていませんでした。ですが日本を代表するタクシーであるならば、先進安全装備の搭載は絶対といえるでしょう。
そこで搭載されるのがこのToyota Safety Sense Cです。
レーザーレーダーと単眼カメラを併用した高精度な検知センサーにより、予防安全性能が高められます。
主に下の3つの機能が搭載されています。
・プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援型)
・レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)
・オートマチックハイビーム
さらにSRSエアバッグ、SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグなどの安全装備も採用され、公共交通機関に相応しい安全性が確保されています。
価格は?
このJPNタクシーには写真にあるように、「標準グレード」と「上級グレード」が用意されます。
標準グレードは300万円前後になる予定で、これはコンフォートのエントリーモデルから100万円以上高くなっています。でも安全装備や快適性を考えると仕方がないのかなと思います。
今後の日本のタクシーについて
日本のタクシーというと、この車が今後代名詞となってくるわけですが、普及には意外と時間がかかるかと思います。東京オリンピックだとか外国人観光客と聞くとこのタクシーもしっくりきますが、地方自治体に目を向けると、このタクシーが出る幕は無いかもしれません。
もちろん日本各地にある観光地であれば今後観光客の増加も考えられますが、何もない田舎でもタクシーはあります。はたしてここまで快適で大きなタクシーは必要とされるでしょうか。
また、コンフォートは仕組みがシンプルなだけに、修理やメンテナンスが簡単でしたが、安全装備の組み込まれたこの新型タクシーがこれまでと同じように維持できるだけの耐久性があるのでしょうか。こればかりは実際に使用していく中で把握していくしかありません。
そういった意味でも、買い換える余裕のない業者はコンフォートを末長く使うことになるでしょう。コンフォートの生産は既に終了していますが、トヨタには部品確保を含めしっかりとしたバックアップの体制を整えておいてほしいところです。
余談ですが、アメリカフォードで長らく生産されていたクラウンビクトリアが2011年に生産終了した時は大きくニュースになりました。アメリカのタクシー、パトカーの象徴だっただけに、ショッキングだったのです。
それはコンフォートでも同じはずですが、まったく取り上げられずに消えて行きました。同時に姉妹車のクラウンセダン、クラウンコンフォートも生産終了となり、センチュリーもモデルチェンジした今、日本の古き良きセダンはいつの間にか姿を消したのです。これは大ニュースですよ。