近年のSUV人気はとどまるところを知りません。
各社力を入れて開発に取り組んでいますが、いまいちパッとせず存在感の薄いモデルがいるのも事実です。
そこで、個人的に選ぶマイナーSUVである「三菱RVR」と「スズキSX4 S-CROSS」(以下SX4)を比較してみたいと思います。
目次
バックグラウンド
この2車種はどちらもCセグメントコンパクトクラスに該当するSUVです。
三菱RVR
初代は1991年、3代目である現行モデルは2010年の発売。岡山にある水島製作所で生産され、2019年8月マイナーチェンジにより現在のデザインに至る。
スズキSX4
初代は2006年の発売。2代目である現行モデルは車名を「SX4 S-CROSS」に改め2013年の発売。ハンガリー、中国、インドにて、日本を含む全世界向けが生産されています。2019年4月マイナーチェンジにより現在のデザインに至る。
外観
まずは外観から比較してみます。
RVR 「新しいSUVと。新しい世界へ。」
【カラーバリエーション:7色】
SX-4 「SUVに、美しさという力を」
【カラーバリエーション:4色】
2019年8月にマイナーチェンジしたことで大きく雰囲気を変えたRVRですが、2010年発売というモデルサイクルを考えると大いに頑張ったという印象。よりスタイリッシュで力強く、洗練されたデザインが自然にマッチしています。
「SUVの力強さとセダンのような美しさを併せ持つ」というSX-4は、力強くシャープなフロントライトに高級感漂うフロントグリルが印象的です。リアにかけて滑らかに絞られたデザインがよくまとまっています。
内装
RVR
【シート柄バリエーション:3種】
エスクード
【シート柄バリエーション:1種】
RVRは、エクステリアこそ一新されたものの、インテリアは2010年時点とさほど変わっておらず古さが見えます。それを補うかのようにシートやヘッドライニング、センターコンソールのパターンを選択できるようになっています。
SX-4はよりモダンで高級感があります。ガーニッシュを所々にあしらうことで全体的にメリハリがつき、引き締まった印象です。
スペック
サイズ
RVR | SX-4 | ||
M | G | FF | |
全長(mm) | 4,365 | 4,365 | 4,300 |
全幅(mm) | 1,770 | 1,810 | 1,785 |
全高(mm) | 1,665 | 1,665 | 1,595 |
ホイールベース | 2,670 | 2,600 |
SX-4に比べRVRは一回り大きくできています。しかし不思議なことに最小回転半径はRVR「5.3m」、SX-4「5.4m」とサイズの小さいSX-4よりも小回りが利きます。
エンジン
RVR | SX-4 | |
弁機構・気筒数 | SOHC16バルブ4気筒 | DOHC16バルブ4気筒 |
総排気量(L) | 1.798 | 1.586 |
最高出力[ネット](kW[PS]/rpm) | 102[139]/6,000 | 86[117]/6,000 |
最高トルク[ネット](N・m[kgf・m]/rpm) | 172[17.5]/4,200 | 151[15.4]/4,400 |
燃料タンク容量(L) | 63(2WD)/60(4WD) | 47 |
機構は同じですが排気量には差があり、RVRの方が全体的にパワーがあります。車体サイズはそれほど変わりませんが、燃料タンク容量には大きな差があります。
燃費
燃費 | RVR | SX-4 | ||
2WD | 4WD | 2WD | 4WD | |
JC08モード [国土交通省審査値] | 15.0km/L | 14.4km/L | 16.2km/L | 15.2km/L |
WLTC[国土交通省審査値] | 13.8km/L | 12.8km/L | – | – |
市街地モード | 10.4km/L | 9.9km/L | – | – |
郊外モード | 14.3km/L | 13.1km/L | – | – |
高速道路モード | 15.7km/L | 14.4km/L | – | – |
SX-4にはWLTCでのカタログ値がありませんが、実燃費は両者ともにほとんど変わらないと考えてよいでしょう。
走行性能
RVR 【電子制御4WD】
路面状況や走行条件に応じて、前後に駆動力を適切に配分する「4WDオート」、強力なトラクションが得られる「4WDロック」、燃費のよい「2WD」の3つのモードを設定できます。
SX-4 【ALLGRIP(オールグリップ)】
「電子制御4WDシステム」「4モード走行切替機能」「車両運動協調制御システム」の3つのテクノロジーからなる、スズキ独自の四輪制御システム。優れた走破性と走行安定性を発揮することで、ドライバーにさらなる走りの楽しさと安心感を提供しています。
さまざまな走行状況で最大限の走行安定性を引き出せるよう「AUTO」「SPORT」「SNOW」「LOCK」の4つのドライビングモードを設定しています。
先進安全装備
最近の自動車には当たり前の先進安全装備を比べてみましょう。
<RVRの先進安全装備〔全車標準装備〕>【サポカーSワイド】
- 衝突被害軽減ブレーキシステム[FCM]
- 誤発進抑制機能(前進時)
- 車線逸脱警報システム[LDW]
- オートマチックハイビーム[AHB]
RVRはいわゆる自動ブレーキ(対人含む)や誤発進抑制機構が装備されており、セーフティ・サポートカーS ワイドに該当しています。サポカーにおける最高ランクを保持しています。
<SX-4の先進安全装備〔全車標準装備〕>【サポカー】
- 衝突被害軽減ブレーキ「レーダーブレーキサポートⅡ」
SX-4は被害軽減ブレーキのみのセーフティ・サポートカーに該当しており、最低ランクとなっています。もう一息といったところ。
価格
RVR
グレード | 駆動方式 | メーカー希望小売価格(消費税込) |
G | 2WD | \2,272,320 |
4WD | \2,508,840 | |
M | 2WD | \2,104,920 |
4WD | \2,341,440 |
SX-4
グレード | 駆動方式 | メーカー希望小売価格(消費税込) |
– | 2WD | \2,140,560 |
4WD | \2,356,560 |
最低価格はRVRのMグレード(2WD)の2,104,920円ですが、最新のデザインや装備を考慮すると相当お買い得だと感じます。いずれにしても価格差は少ないので、より内容の充実したほうを購入するのがベストでしょう。
結論
今回比較したRVR、SX4は、ともにそこまで装備過多ではなく、低価格で必要最低限を満たした十分魅力のある車だと分かりました。
ともにSUVを強みとするメーカーですが、なぜSUVブームの昨今においてもそれほど存在感を示せずにいるのでしょうか。
これは個人の考えにほかなりませんが、RVRの場合、三菱自動車におけるSUVのラインナップには他にも「アウトランダー(PHEV)」「エクリプスクロス」があります。大型のアウトランダーと中型のエクリプスクロス。ではRVRが小型か?と言われれば微妙です。メーカーの位置づけ的にはアウトランダー>エクリプスクロス>RVRなのですが、エクリプスクロスとのサイズ感はほとんど同じため、中途半端感が否めないことが理由と考えられます。
一方のSX4ですが、単純に知名度不足でしょう。前述したようにSX4はハンガリー等の海外で生産された車両を逆輸入という形で国内販売しています。初代もフィアットとの共同開発ですし、そもそも国内向けではない車です。バレーノといい、海外から持ってくるタイプは成功しないようです。また、近年SUVに求められるデザインとしては「美しさ」よりも「タフさ」だと感じます。そういった意味でもニーズに合っておらず、この車が注目されない大きな理由でしょう。
もちろん個人の意見ですが、皆さんはこの2台ではどちらを選びますか?
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