スバルが、一部の完成検査員が燃費試験の計測値に変更行為があったと回答した自動車の生産での燃費データ書き換えの可能性を調査している問題について進展があったようです。詳しく見てみましょう。
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そんなことなかった?
疑惑の対象となっている車両は現時点で少なく、数台にとどまることが1月19日明らかとなりました。発表からおよそ1カ月が経過していますが、組織的関与は確認されておらず、経営への影響は限定的となる公算が大きくなっています。
「ご心配をかけているがきちんとする。」
スバル吉永泰之社長
スバル吉永泰之社長はこう強調し、年度内に調査を終え公表を目指すとしています。
また、これまでの調査によると、書き換えに関する発言をした従業員は1人しか確認されていないようです。
燃費不正に関して
燃費データを巡っては2016年、三菱自動車やスズキが、国に提出するデータの改ざんや法令と異なる測定方法を行うなど不正が相次ぎました。
三菱自動車は燃費を実際より良く見せるため過去10年にわたって国に提出するデータの改ざんをしており、さらに不正発覚後、法令で定める試験方法により走行抵抗 を再測定する際に、ばらつきを抑えた上で走行抵抗を測定するとの試験法の趣旨に反し、測定したデータから走行抵抗値の低いものを抽出するという不正な取扱いを行っていました。スズキも手間を省くため、法令と異なる測定方法を採用していました。
今回発覚したスバルについては、サンプリング調査での測定値変更が問題となっています。新車の立ち上がり時は、性能や品質のばらつきが大きいためサンプリング調査を通常行いますが、抜き取り検査は国の規定ではなく、社内で定めた検査項目によるものです。
測定では平均値が一定の範囲に収まるかをみるために、数百のデータを取ります。しかしその一部が改竄されていたとしても平均値はあまり変わらないのです。
それに加えこの検査は自主的に行う燃費測定のため、リコール(回収・無償修理)にもつながらない見通しとなっています。
まとめ
車両の開発時や車を量産するための仕様を国に届け出る際のデータ改ざんは確認されていないとしている点で三菱やスズキほど大事ではないということなのです。
また、疑惑の証言をした従業員も現時点では1人しか確認されておらず、影響は限定的といえます。
しかし、こうした自動車の製造過程における「検査」に対して国民の疑問が投げかけられたのは事実です。一体何のための検査なのか、する必要があるのか、自主的なのか、といった曖昧な状況が露呈した格好です。
自動車は人の命を預ける製品です。是非検査内容についても、なるべく分かりやすく公開していく必要があるかと思います。「自主的にこういった検査工程を設けています」とすればユーザーにとっても好印象となるでしょう。