スバルは2017年10月、国内の自動車工場で資格を持たない従業員が出荷前の安全検査をしていたことが発覚。
その後、一部の従業員からの指摘で燃費データの改ざん疑惑を調査していましたが、燃費データに加え、排ガスの測定値も改ざんが発覚しました。
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排ガスでも不正発覚
スバルは2日、出荷前の車の燃費などを確認する「抜き取り検査工程」で、測定値の書き換えがあったと公表しました。これまで改ざんの疑いがあった燃費に加え、燃費を算出する際に使われる排ガスの測定値も書き換えていたのです。
「大きな問題。根っこは企業風土にある。」
スバル吉永泰之社長
改ざんの疑いが浮上したのは昨年12月。無資格者に完成車の検査をさせていた問題で実施した調査に、「燃費の測定値の変更行為があった」と発言した検査員がいました。発表からおよそ1カ月の2018年1月時点では、組織的関与は確認されておらず経営への影響は限定的となる公算でしたが、外部弁護士の調査により、今回初めて改ざんを認めたかたちです。
検査はカタログ値に示した燃費通りかどうかについて、完成車を任意で抜き取って走行時の排ガスなどを調べる方法で行われます。
排ガス測定の不正は大問題?
国土交通省などによると、燃費の検査行為は道路運送車両法の保安基準の対象外となっており、各自動車メーカーが独自に行っています。しかし燃費の測定に必要な排ガスの検査は保安基準の対象となっているのです。
今回、新たに排ガスの改ざんも認めたことで、道路運送車両法に抵触する可能性があり、何かしらの法的措置も可能性としては考えられるのです。
今後の対応は?
車について
スバルは今回の改ざんは基準値の範囲内だったと説明しています。改ざんの動機などを調べた上で、3月末までに国交省に報告する予定です。
現時点では対象車のリコール(回収・無償修理)はしないとのこと。
社長交代へ
スバルは、中村知美専務執行役員(58)が社長に昇格する人事を固めました。吉永泰之社長(63)は代表権のある会長に就任となります。
無資格検査に加え燃費測定値の改ざん、さらには今回の排ガス測定値の改ざんといった負の流れを断ち切り、信頼と業績を回復させるため、複数の取締役を退任させるなど、経営体制の刷新を行います。
まとめ
スバルにとっては嫌なニュースが続き、ブランドイメージに影響は免れません。無資格検査問題を受けてスバルは約39万5000台をリコールしており、費用は200億円にのぼるほか、2017年11月の同社の国内乗用車販売台数は前年比8.8%減少するなどの影響が出ていました。
企業風土が問題と社長が言っていますが、無資格検査自体は80年代から横行していた通り、風土はそう簡単には変えられません。しかし大手だからと言って「風土」に逃げるのは汚いやり方です。中小企業が同じ不正をしても風土という言葉はおそらく使えないでしょう。この「風土」には、「昔からある大きな会社だから仕方ないんだ」という意味が見え隠れします。
日産の無資格検査では、不正が行われていたことを社長は知らなかったとしています。嘘か本当かは置いといても、それは現場まで目が届いていないということであり、社長の思いがうまく従業員に伝わっていないことを意味します。
「風土」を壊すのは簡単ですが、一から作り上げるのは多大な努力を必要とします。部下は上司を見て育ち、上司が正しいと思いこみます。そのループから抜け出すには一斉に入れ替える意外方法はありません。しかし実際にそういったことは難しく、それだけ教育が大切ということなのです。
今回の不正が再発し、「一回で分からないのか」と言われないことを願います。
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