三菱自動車が販売するコンパクトカー「ミラージュ」。
日本での販売は2023年に終了してしまいましたが一部の海外ではまだ現役です。現行モデルは2012年登場と古く、フェイスリフトを細々と続けているとはいえ誰がどう見ても魅力的な車ではありません。
しかし、逆にそれがいいというのです。
目次
チープな車が逆にいい
最近の車はどれをとっても高価になっています。電動化が一番大きな要因であることは間違いないですが、加えて様々な先進安全装置が標準装備されることで価格はさらにアップしてしまいます。ただの移動手段が欲しい人にとっては、まったく必要ない装備に大金を払うことになるわけです。
一方でミラージュは何といっても低価格。アメリカで唯一新車で20,000ドルを切る価格設定であることが魅力の一つです。ベースモデルは17,000ドルからと何といってもお値打ちなのです。
アメリカではハッチバックに加えセダンもラインナップされています。
搭載する1.2Lガソリンエンジンは76馬力を発揮し、非力ではあるものの街中で36mpg、高速で43mpgの低燃費を実現しています。複雑な電動システムなどもないため、整備も比較的簡単で安く済みます。
最新のモデルは2019年11月にアップデートが施され、よりスタイリッシュな外観となりました。衝突安全装備が標準装備となりタッチスクリーンのインフォテイメントシステムが装備され快適性が向上しています。さらに新車ならではの保証も充実しています。
こういった理由から、ミラージュの経済性が再評価され注目されているのです。
販売台数も増加
アメリカの年間販売台数を見てみると2019年をピークに減少傾向で2023年は大きく台数を減らしましたが、2024年は盛り返しています。決して多いわけではありませんが、ここへきて増えるというのは驚くべきです。
年 | 年間販売台数 |
2013 | 2,935 |
2014 | 16,708 |
2015 | 21,515 |
2016 | 22,226 |
2017 | 22,386 |
2018 | 24,316 |
2019 | 26,966 |
2020 | 19,135 |
2021 | 22,743 |
2022 | 15,814 |
2023 | 13,220 |
2024 | 20,026 |
出典:Mitsubishi Mirage Sales Figures | GCBC
動画の注目度も高い
ミラージュのレビュー動画など日本では皆無に等しいですが、アメリカではここ最近ミラージュを再評価する関連動画が多くアップされています。当初は「最悪の新車」としてレビューされることもありましたが、今となってはいずれも最低限の割り切った装備と価格がかえって好意的にレビューされています。どうなるかわからないものですね。
2024年11月16日
▶2024 Mitsubishi Mirage — The LAST Truly Affordable Car in America!
2024年10月26日
▶This Is The ONLY New Car UNDER $20,000… 2024 Mitsubishi Mirage G4 – YouTube
2024年10月20日
▶The Cheap Car You’ve Always Wanted
2024年6月14日
▶2024 Mitsubishi Mirage: Is It FINALLY Better?
販売終了間近か?
ここへきて注目度があがってきたミラージュですが、残念なお知らせがあります。
三菱自動車は2024年末にミラージュの生産を終了し、アメリカでは2025年までは在庫対応になると発表しました。いくら販売が少し上向きになったとはいえ、大ヒットということではありません。また小型車の収益性は比較的低いため、今後はより収益性の高いモデルに注力されるようです。
自動車メーカーとしては「車で人生を豊かにする」ことが基本的な目標だと思いますので、そういった意味では誰でも買えるような低価格で簡素な車も細々とでも作り続けるべきではないかと思いますが、ビジネス的に厳しいのが実情でしょう。
三菱にはアウトランダーPHEVのような完成度の高い車もありますが、アメリカで三菱に大枚をはたく人がどれだけいるかが気になりますね。