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【日産】EVミニバン?2019年までありましたけど?

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電動化の波は想像以上に大きくなっています。

近年発売された新型車には、必ずと言っていいほどモーターで駆動するハイブリッドやPHEVがラインナップされており、ガソリンエンジン自体を廃止するモデルも多くなっています。加えて海外メーカーのEV攻勢もすさまじい中で、電動車の開発に各社力をいれています。

EVのSUVがあるとしたら、EVのミニバンも今後出てくるはず・・・。いや、実は既に存在し、2019年にひっそりと生産終了していたのです。

目次

日産・e-NV200

e-NV200は、日産自動車が2014年に製造・販売を開始したライトバン並びにミニバンタイプの電気自動車。2009年に販売を開始したNV-200の電気自動車モデルとして誕生しました。

2022年現在でも欧州などで生産が継続されているものの、日本向けについては2019年で販売終了となっています。日本仕様車は欧州仕様と同じバルセロナ工場で生産されたものを輸入し、追浜工場で最終的な品質チェックを行った上で出荷されていました。

最終モデルには40kWhのバッテリーを搭載し、航続距離はJC08モードで300kmを実現。「普通充電」「急速充電」の2つの方法から選択が可能。普通充電では満充電まで8時間、急速充電では80%まで4時間で充電できます。

7人乗りワゴンモデル

この車の特徴は、商用車としてだけではなく多人数乗車を実現するワゴンをラインアップしていることにあります。

定員は7人乗と5人乗の2タイプを用意。

さらに給電機能「パワープラグ」を搭載し、アウトドアなどで電気製品を活用することもできます。

今となっては世代の古さを感じる内装ですが、インパネにはEV専用ナビを搭載しています。またワゴンには後退時のバックビューモニターを標準装備しています。

生産終了のなぜ

ご存知の通り、当時は今ほど電気自動車が人気ではありませんでした。

航続距離や充電インフラに対する心配事が多く、価格もネックとなり販売的には失敗しています。

価格

2018年4月時点での車両価格は以下の通りです。

補助金がいくらかあるとはいえ、商用ベースのワゴンとしてはかなり高額です。

航続距離

e-NV200の航続可能距離300kmはJC08モードですが、より実燃費に近いWLTCモードに換算すると200km強というところでしょう。決して多くはありませんが、極端に少ないわけではありません。

サクラ:180km(WLTC)
リーフ:450km(WLTC)、550km(JC08)
アリア:470km(WLTC)

充電器の数が少なかった?

充電器の数が少なければ電欠の心配が大きくなります。2019年の充電インフラはどうだったのでしょうか。

初代リーフが販売されていた2016年頃と比べると増加しており、e-NV200が販売されていた当時の充電器数はむしろピークといえます。

ゼンリン調べ 2016年10月末
(初代リーフ販売時)
2019年2月末
(e-NV200販売時)
2022年2月末
(アリア販売時)
急速充電 7,000基 7,700基 7,950基
普通充電 16,000基 22,500基 21,700基
合計 23,000基 30,200基 29,650基

出典:日産HP

もっとも興味深いのは、e-NV200が販売を終了する直前である2019年2月時点での充電器設置数が30,200基[急速充電:7,700基、普通充電:22,500基]であるのに対し、2021年2月時点では30,000基[急速充電:7,950基、普通充電:21,700基]と減少していることです。

充電器の数は生産終了に影響していないとわかります。

EVは増えているが…

EVが出始めた当時はバッテリーの生産に大きくコストがかかるため、一般的なガソリンエンジン車と比較すると高額となりました。

しかし近年は生産量も増加し製造コストも下がってきています。さらに軽自動車規格のEVなど、国や自治体の補助金も相まって気軽に手が届くものになってきました。

2010年 初代リーフ発売時

日産自動車は、2010年12月に発売予定の新型電気自動車「リーフ」が、4月1日からの国内販売予約受付開始より2ヶ月で、2010年度の販売目標台数である6000台に達したことを明らかにした。

出典:https://www.corism.com

2022年 初代サクラ発売時

日産初の軽EVとして2022年5月20日に発表・6月16日に発売された「サクラ」の受注台数は、日産自動車広報部によると同年7月19日時点で2万2000台を超えたという。

出典:https://bestcarweb.jp

初代リーフは2カ月で6000台に対し、サクラは1カ月で2万2千台を受注しており7倍以上の好調な売れ行きとなっています。

EVが売れれば売れるほど充電器が必要になりますが、充電器設置数はどうかというと2010年から2021年ではわずか6,650基しか増えていないのです。しかもEVは日産だけではありません。

つまりインフラは整備されないままに電動車だけが数を増やしているのが今の現状ということができます。

EVミニバンは出るか

国内初のEVミニバンは大きく注目されることなく生産終了となりました。

先述したとおり、インフラの不備は生産終了の理由ではありません。製造コストの関係で車両価格が高額だったことと、航続距離が今一つだったことも理由ですが、商用バンベースであり、ファミリーのニーズに訴求することができなかったことが最も大きな理由だと思います。

EV専用のミニバンは今後必ず出てくると考えられますが、まだ時間がかかると個人的には思います。

重いバッテリーを床下に搭載するEVは背が高いミニバンを安定させることができ理にかなっていますが、シートや収納の機構との両立が課題といえます。いくら先進的なEVであっても、シートアレンジや気のきいた収納がより求められるミニバンにおいてはそこをクリアしないと厳しいのではないでしょうか。

またミニバンの場合、長距離の移動に使用することが多いため航続距離が求められます。大きなバッテリーを搭載すればその分価格も上がることになり、車体サイズも考慮するとSUVのEVよりも高額となります。日産・アリアは539万円~なので600万円程度になることが予想されます。

ただでさえ子育てにお金がかかるファミリーにとっては、たとえ補助金があったとしてもハイブリッドやガソリンモデルを選ぶことでしょう。

EVが”プレミアム”な存在である限り、EVミニバンが普及することはないと個人的には思います。

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-EV, 情報, 日産, 自動車

執筆者:


  1. コンチャン より:

    まさにそんな感じ。
    e-nv200が欲しかったのに残念。
    少し不便な物に魅力があります。

    • クースキー より:

      時代が来てから作り始めたのでは遅いわけですが、かといって早すぎるとこういう結末が待っていますね。
      三菱・ミニキャブミーブはギリギリ時代が追いつき再販となりました。
      バンタイプのEVは当分先になると思います。

  2. 山口義幸 より:

    私は、電気自動車で、航続距離がなくても良い。近隣しか乗りません。太陽光発電システムがあるので、ev充電と、災害時の為に利用したいのです。バンでもいいし、家族全員が乗れる7人乗りもいい。原油高騰、温暖化に怒りを覚えています。日本は、evの遅れで、自動車産業自体が、国際的に遅れをとることになりますよ。この航続距離なんてのは、問題視していない人もいることを再認識してほしいと思います。

    • クースキー より:

      ラストワンマイル等の運搬車であれば航続距離は必要最低限で問題ないと思います。
      しかしファミリーユースを前提としたミニバンの場合そうはいきません。より便利で安いガソリン車がある以上、EVは普及しないと思います。
      VWやフォードはEVの減産を予定しており、一定の物好きに供給し終えたとする見方が有力です。
      EVは既に淘汰の時代に入っており、かつ日本メーカーのプレゼンスはいまさら拡大できる見込みがありませんので、
      cafe対策として細々と続けながらEVの時代が終わるのを待つ方が賢明と思います。

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