車を購入される際、一体何を重視しますか?
見た目はもちろんのこと、快適性、機能、価格・・・などなど考慮することは多いですが、近年ではやっぱり「燃費」ではないでしょうか?下のような表示を比較することでしょう。
出展:nissan.co.jp
現在使用されている燃費を計る指標はこの「JC08モード」が一般的です。
燃費の良い車が増えてきておりますが、果たしてカタログ通りの低燃費を発揮することは可能なのでしょうか?
目次
JC08モードとは
自動車の燃費をいくつかの走行パターンから測定する燃料の測定方法です。
2014年4月1日以降の新型車に表示が義務づけられており、国土交通省の定めた方式で、審査機関(独立行政法人 交通安全環境研究所)において測定しています。
市街地や郊外での走行を想定した一定のパターンで走らせ、燃料の消費量から1リットル当たりの走行距離(燃費)を算出します。
測定方法
しかし実際に車を走らせるわけではなく、試験場のシャシダイナモ(測定器のロー ラー)に車を載せ、車両重量毎に負荷重量を変化させた上で、その場でタイヤを回転させて、燃費を測定しています。
基本的に平坦路で渋滞がなく、エアコンもオフという走行が想定されています。
こんな感じ 出展:njd.jp
ですがこの走行方法は現実的ではなく、実燃費とはいくらか乖離のあるデータとなってしまいます。JC08モード通りの燃費だという方は少ないのではないでしょうか。
そこで2018年10月より新たな燃費測定方法に全面的に移行することになりました。
WLTP
WLTPとは「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法」であり、「Worldwide harmonized Light vehicle Test Procedure」の略称です。国際的な指標なので自動車メーカーは一度の試験を行うと複数の国や地域での認証に必要なデータが取得可能になります。
測定方法
シャシーダイナモに乗せて測定を行い、エアコンの使用は考慮されないという点ではJC08モードと変わりませんが、測定時の条件は以下の点で異なります。
・平均車速の上昇
一般に自動車はある一定の速度までは速度上昇に伴って燃費が向上することが知られており、WLTP 燃費試験の方が燃費値が良くなると考えられます。
・アイドリング時間比率の減少
アイドリングの時間が減少するということは、アイドリングストップ機能のついた車はその燃費削減効果を発揮し難くなります。逆にアイドリングストップのない車にとってはアイドリング時の燃料消費の割合が低くなるため、WLTPの方が燃費値は良くなる傾向にあると考えられます。
・コールド比率の増加
コールドスタート(温度が低い状態で始動させること)の場合、走行開始直後はエンジンが温まっておらず、燃費悪化の要因となっていることが考えられます。WLTPではこのコールド比率が高いことから、燃費値は悪くなると考えられます。ハイブリッド車の場合、低速時はエンジンが作動せずモーターのみで走行することもあるため暖機が遅れ、さらに燃費値は悪化することが考えられます。
・試験自動車重量の増加
WLTP燃費試験時の方が試験自動車重量が大きくなり、より実用環境に近い条件となりました。これにより燃費値は悪くなることが考えられます。
燃費表示が変わる
これまでのJC08モードでは燃費の「平均値」のみ表示されており、これだけが頼りだったわけです。しかしWLTPでは「平均値」に加え、新たに3つの走行状況における平均燃費が追加されます。
・「市街地」:渋滞や信号の影響を受ける低速な走行
・「郊外」:渋滞や信号の影響が少ない走行
・「高速道路」:高速道路での走行
基本的に市街地<郊外<高速道路の順で燃費は良くなります。車を購入する際には自分の使用環境と照らし合わせながら、より現実的な燃費を知ることができるわけです。
マツダCX-3で適用
CX-3のガソリン車は、このWLTCモードでの測定を行っています。マツダホームページによると、
・JC08モード:17.0km/L
・WTLPモード:16.0km/L
市街地モード:12.2km/L
郊外モード:16.8km/L
高速道路モード:18.0km/L
となっており、市街地では大幅に燃費が悪化することが分かります。これまではJC08モードの「17.0km/L」しか表示されず、街で乗ってみた結果「全然悪いんだけど?!」となっていましたが、これからはそういったユーザーの声も聞かれなくなりそうです。これはメーカーにとっても燃費の乖離をつつかれないための保険となるのです。
もちろんこれまでより全体的に燃費は悪化して表示されることになるのですが、適応される2018年10月からは皆一斉に悪化するため問題ないでしょう。しかしハイブリッドの燃費が意外とよくなかったりすると、ユーザーの選択にも変化が出てくることは予想されます。
まとめ
WLTP:2018年10月より全面的に移行
燃費表示は「平均値」に加え「市街地、郊外、高速モード」が追加
この測定方法はガソリンなどの化石燃料を使用する車のもので、電気自動車はまったくの別物と扱われます。車はますます電化の流れですが、こういった試験自体、将来的に無くなっていくのでしょうね。