日産自動車が11月19日午後10時から開催した記者会見の模様をまとめました。
西川社長の言葉と、その後の質問応答を抜粋しお伝えします。もちろん一語一句というわけではありませんので、ご了承ください。
目次
西川社長のことば
今日は大変遅い時間で申し訳ありません。
本日夕刻のプレスリリース通り、会長ゴーンについて社内調査の結果重大な不正行為が3件あり、有価証券減額記載、目的偽った投資資産の私的な利用、会社経費の不正使用がある。詳しい内容については控えるが会社として断じて容認できず、解任に値するとして提案を決断した。正式には11月22日木曜日に代表権・会長職を解くためみずから召集予定。
グレッグケリーの代表権も解く。
検察での捜査を進んでおり二人の対応中、したがって詳細は限界がある。
概略:
内部の報告により社内調査で発覚。本件の内容を当社から検察へ提供・協力し進めてきた。今後も進めていく。事案の結果として株主の皆様、関係者の皆様に多大な迷惑をかけていまい、会社を代表して深くお詫びする。
会社としての立場で見れば、発見された不正の除去、捜査への全面協力、ガバナンスの認識と反省・猛省すべき。ただそれ以上に私としては、長年「カルロスゴーンの日産」としてサポートされてきた方々への信頼を大きく裏切ることになった。大変残念、申し訳ないという気持ち。
それから、日本のみならず世界各国の従業員、関連会社へも申し訳なく思う。私自身日産のリバイバル計画以降、全身全霊日産のリバイバルに力を注いできた。そのなかで確認された今回の重大事案であり、何と表現していいか難しい。残念。憤り、落胆だ。
社内においても従業員と共有できる情報には限度があり、それ以上は言えない。従業員も一体何が起きているのかという状態だと思っている。詳細がいずれ明らかになるにつれて、私が感じているようなことが従業員にも広がっていくと思う。
個人的な受け止めはこれまでにする。取引先への業務に影響を出さないよう集中していく。コンプライアンスの徹底を進めるさなかの重大事。徹底的に問題点を洗い出していきたい。
今後の進め方については、今年度からルノーに任命された純粋な独立取締役に第3者を交えて要因を掘り下げていく。
当社に限って言えば大きな影響はないと考える。今後様々な観点からの変更が必要と判断すれば変えていく。ルノー、三菱のアライアンスでの仕事の仕方も、その都度3社で相談の上、実行していく。
この自案はルノーの会長兼CEO、三菱の会長でもあるゴーン氏の逮捕である。ルノーへの影響は大きいが、不正の除去が本質であり、3社のパートナーシップに影響を与えるものではなく、より親密に取り組んでいくことが大事と考える。
特定の個人に依存する形から抜け出して、より広く見直すことができるよい機会になるのではと思っている。3社とのコミュニケーションも既に始めている。
ガバナンスには課題が多い。一人への権力集中が問題。ここを掘り下げていきたい。
最後に、この場で言うことか分からないが、本事案での関連した不正は、負の側面と言わざる問えない。一方で19年間で日産で積み上げてきた素晴らしいものもあり、CEOだけでなく、その期間に大くの従業員が苦労してきたためでもある。その苦労と努力の結果がリカバリーであり、その結果・結晶は無駄にしたくない。
そのうえで、将来にむけての財産、ゴーンの負の遺産、権力集中については次のアプローチとして、事業運営について必要なことには明確な手を打っていきたい。
事案について詳細をお伝えできずに申し訳ないが以上です。
質問:
こうした重大会見の場合、弁護士や調査担当者が同席すると思うが、なぜおひとりなのか?考えがあるのか?
実は並行して捜査が進んでいるので、内容、タイミングもそれなりに制約がある。今日許されるタイミングということで私自らお伝えしたかった。
もちろん時期が来れば詳細の説明をきちんとしていく。その際は専門家も同席したいが、今日はある意味私もショックを受けているので、重大事案で不安を与えて申し訳ないが私がお伝えしたかった。
日産ブランド、ユーザーがショックを受けている。大きな騒ぎになっているがひとこと。
様々な方からサポートをいただいてきた。その中でゴーン個人だけではないが、こういうような事案が起きてしまったこと。大変申し訳ないという気持ちでいっぱい。
ガバナンスに対しては猛省。振り返ると原因とは言えないが、1人への権力集中、実力者として長年君臨することの弊害を痛感している。ガバナンス面でも事業面でも目で見える形で変えていきたい。
内部通報があったのはいつか?そのくらいの調査をしてきたか?
お応えしたいが、今は控える。いずれタイミングをみて話をしたい。
2人だけが不正をしたのか?
2人が首謀だと確認しているが、あとは控える。
他の役員の感想は?
実は役員がこの件を知ったのはつい先ほど。事案の中身から秘匿を支持しており、彼らも今聞いたばかり。とにかく従業員、取引先への業務を不安定にしないように全力を尽くし、従業員への役員が先頭にたちしっかりとリードしていく。
会社として告発する意志はないのか?
お応えできないが、それに値する事案と考える。
過少申告で50億程度のお金が消えたことになるが、日産の帳簿上はどういう処理をしていたのか?
お応えできないが、もちろん確認中である。
権力の形成はどのようにしてなされていったのか?
やはり事実として見た場合、事案として不正が見つかった。そこの除去がポイントであり、権力集中によるクーデターだという理解はしていない。
権力を集中したと言ってこうなるとは限らないが、ガバナンスの面から見たらひとつの誘因であった。より公正なガバナンスの構築は大きな課題である。権力形成はやはり長い間で徐々に作られてきたと言うしかないが、ひとつはルノーと日産の兼任は無理があったと考える。
ケリー氏のポジションとは?
長い間の中でゴーンの側近として様々な仕事をしてきた。CEOオフィスとしてゴーンの権力を背景に、相当な影響力でコントロールしてきたと言える。実感であり、実態である。
ゴーンはカリスマといわれるがリストラなどで剛腕をふるってきた。カリスマだったのか暴君だったのか?
正直言って当面の対応を追われており、じっくりと考えたいが、事実としては他の人間ができなかったことを初期のころはやっていた。その後はやはり功罪両方あると感じている。したがって積み上げてきたこと全部は否定できないが、ゴーンがトリガーを引いても実際にチャレンジしていくのは従業員、サポーターの方々なので、最近の状況をみるとやや権力の座に長くいたことによる弊害も見えたという実感がある。意見を言ったこともあるが、こういう事態に至った以降は手を打っていきたい。
権力の座に長いこといたが、具体的にどういう弊害?
実務から離れていくと、彼に日ごろから報告する人が減っていく。実務的な判断を限られたインプットでしてしまう。これは誰でもあることだが、その部分の問題点が昨今は多く見られたという実感。
ケリー氏の人物、業務内容は?
彼の役割、経歴はきちんと話したいが、もともと日産出身で執行役員だった。影響力があると言ったのはCEOオフィスの時代からアライアンスの面でも絶えずゴーンの側近としていたので影響が大きい。近年は会長に対するサポート以外はなく、影響力は徐々に落ちてきていた。
ゴーンは日産の顔としての認識があるが、影響は?
販売への影響はお客様が決めること。日産は日産であるということ。ゴーンを重ねる方も多いが、日産ブランドそのものとしてご愛顧して頂きたい。日産インテリジェントモビリティというのは今の経営者のイニシアティブである。もちろんこの事案で大きなショックを与えたが、影響がないとは言えないが出来る限り努力する。
アライアンスに関しては、パートナーシップそのものへの影響はなく、むしろより緊密に話し合っていく。日常の運営面に関してはアライアンスの責任者はそれぞれCOO、CCOそれぞれの会社にレポートし、3社が集まって話していくのでこれまで通り変わらない。どういう議論をするかは当社は私がリードするが、ルノーについては体制を組みなおしてく。
なぜこの2人だけと言えるのか?
控えたいが、社内調査はほとんど終わっているので状況把握はしております。あとは捜査の進展をみていただいて、いずれ話をしたい。
高額報酬について、正当と思うか?
日本全体で議論があるが、日本企業だから低い、外国企業だから高いというのは是正されるべきというのが個人の考えだが、これは本来の価値をパフォーマンスに応じて是正されるべき。
権力集中は、大変革のなかでそれを許してしまった面はあるか?
振り返ると、反省をすべきところはあるとみている。そういうことがおきないように絶えずすべきである。19年間で十分にできていたかは反省点が多いと思う。
社長としての責任は?
事態を鎮静化させて1日も早く正常化させて進めたい。やることが山積しているのでそれを進めることが私の仕事と思っている。ガバナンスの体制、執行体制も変えることろは変えていく。今の段階ではそこに集中したい。
最初にあなたとだれかで共有したか?何か反応はあったか?
良く分かりましたという反応は得た。
ルノー三菱がゴーンのポジションを保持したらどうする?
それぞれの会社で考えていくことだと考える。
なぜ不正を見抜けなかったのか?
会社の仕組みであり透明性が低い。これだから不正があるとかガバナンスに問題があるので必ず不正が起きると言うことではないが、日産的に検知できないという弱点があったと思う。
決めつけてはいけないが、43%の株主であり執行権もあり、日産の取締役議長というゴーンは、その権力構造に問題があったとみている。
日本のユーザーからしたら日本軽視が言われている。これも負の遺産か?この体制が終わり国内市場に軸足が移っていくのか?
まず現在、日本市場を軽視してはいない。出来る限りのことをしているつもり。インテリジェントモビリティは評価いただいており、財産として育てていきたい。日本からのブランドは海外へいい波及効果もあるので、十分認識している。これは負の遺産にあたるかは総括していないが、事実として今現在やっているメンバーは日本のマーケットの重要性をみている。しかし過去に十分に会社の中で認識されて重要視されていなかった時期もあった。商品投入に時間をかけると挽回しにくいと言うのも経験してきた。ある意味偏った意見で商品投入した時期もあった。
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