最近では丸目のヘッドライトを採用する車が増えてきていますが、ヘッドライトの位置は車のスタイルに合わせて大きく変化しており、これまでのデザインの常識が変わりつつあります。
今回ご紹介するのはヘッドライトがバンパーに配置された車たち。このデザイン、これからの当たり前になりそうです。
目次
なぜこんな配置なのか?
国土交通省で定めているヘッドライト(前照灯)の高さは、規定により地上から1m20cm以下とされています。それ以上高い位置にヘッドライトを配置すると、前を走るコンパクトカーや軽自動車と言った車高の低い車のサイドミラーやバックミラーを照らすことになり危険なためです。
しかし多くの場合この規定を満たしています。比較的車高の高いトヨタ・ハイラックスやランドクルーザーもオーソドックスな位置にヘッドライトを配置しており、意外と問題ありません。
つまりバンパーにヘッドライトを配置している車は、多くの場合デザインを優先した結果だということができます。歩行者頭部保護基準の導入によって、ボンネットの高さは一定以上高くする必要があります。そういった状況下でフロントの厚みや地上高などを考慮した結果、バンパー内に収めるのが自然であると判断した結果なのです。
日産・ジューク 2019年~
日産自動車が生産・販売するコンパクトSUV。欧州やオーストラリアで生産、販売されている2代目は、初代を踏襲したデザインが採用されています。
2010年に登場し日本でも発売されていた初代ジュークは、これまでの車とは一線を画すデザインで発売当時大きな話題となりました。しかしその頃から日産自動車の国内軽視ともとれる販売戦略の影響もあり、大きくデザインを変えることなくそのまま2019年に生産終了しています。
初代は「ジューク顔」と言われた
三菱・デリカD:5 2019年~
三菱自動車工業が製造・販売しているミニバン。現行モデルは5代目ですが、2019年のビッグマイナーチェンジで大幅にデザインが変更され、現在のヘッドライトの位置となりました。
大きなグリルと相まって”髭剃り”とも揶揄されますが、間違いなく唯一無二で個性的なこのデザインは、この車にこそふさわしいのです。
縦型ヘッドライトが唯一無二
ヒュンダイ・コナ 2017年~
韓国の自動車メーカー、ヒュンダイが製造・販売する小型クロスオーバーSUV。世界的に人気の高い小型SUV市場に打って出るべく、同社ラインナップにおける小型SUVを受け持つため新規開発されました。
デザイナーはランボルギーニ・ディアブロ、ムルシエラゴ、ガヤルドなどを手掛けたベルギー出身のカーデザイナー、ルク・ドンカーヴォルケ氏によるもの。
デザイン性で先を行く
シトロエン・C3エアクロス 2017年~
フランスの自動車メーカー、シトロエンが製造・販売しているコンパクトSUV。2代目からこのデザインが採用されています。6色のボディカラー、2色のルーフカラー、3色のカラーパックから好みに合わせて組み合わせることが可能です。
シャープなデザインが多いコンパクトSUVですが、ボリューミーなボディラインと丸みを帯びた四角いヘッドライトが特徴的です。
オシャレにまとめたフランス車
タタ・ハリアー 2019年~
インドの自動車メーカー、タタが製造・販売しているSUV。ジャガー・ランドローバーと共同開発した新世代の車台を初採用するモデルであり、インドを代表する都市型SUVです。
先進安全装備などは流石に数歩遅れていますが、先進的でシャープなエクステリアデザインは、どこに出しても恥ずかしくない程に洗練されています。
意外と先進的
フィアット・トロ 2016年~
イタリアの自動車メーカー、フィアットがブラジルで製造・販売する小型ピックアップトラック。発売が開始された2016年には、優れた製品デザインに贈られるレッドドットデザインアワードを受賞しています。
全体的に丸みを帯びた親しみやすいデザインですが、グリルとヘッドライトを横一直線に配置することでワイド感と安定感を演出しています。
見かけないスタイルと相まって個性的
これから増える?
2021年7月、三菱自動車は新型アウトランダーPHEVの発売を発表しました。2021年4月からアメリカ、カナダ、プエルトリコなどでガソリンモデルが販売されていますが、日本国内はPHEV仕様が発売となります。この新型アウトランダーにも三菱のデザイン言語「ダイナミックシールド」に合わせて、バンパー内のヘッドライトが採用されています。
さらにBMWが2021年現在開発中のフラッグシップSUV「X8」についても、同様のヘッドライト位置になると最新のプロトタイプから推測できます。
また、トヨタのミニバン、ノアの新型にも同様のヘッドライト位置になるモデルが用意されるとの情報もあります。
自動車に求められる安全性や快適性を考慮した結果、バンパーにヘッドライトが配置される車が今後増えてくると予想できます。今はまだ見慣れないかもしれませんが、あっという間に当たり前になる日がくることでしょう。