今では当たり前となったハイブリッドカーのパイオニア的存在かつ代名詞とも言える「トヨタ プリウス」。
そんなプリウスが初めて登場したのは1997年。当時の東京モーターショーにも出展され、当時としては驚異的な低燃費が大きな話題を呼びました。
では当時、その他日本車メーカーはどういった車を目玉としていたのでしょうか。1997年開催「第32回東京モーターショー」で出展された各社モデルを見てみたいと思います。
目次
トヨタ自動車株式会社
前述したように、これからの自動車の未来を指し示すモデルとして“プリウス”がメインとなっています。
21世紀を先取りした「ハーモニアス ビークル」を開発テーマとするトヨタハイブリッドシステム搭載のイノベーティブセダンです。
今では当たり前となるハイブリッドカーのシステムを搭載したまさに未来を予言したような一台です。
トヨタは他にも環境対応車として石油に替わるエネルギー源として期待されるメタノールを燃料とする燃料電池電気自動車“FCEV”や、都市中心部や郊外でのパーソナルモビリティを想定して開発した2シーターのEVコミューター“E-COM”等を出展しています。
本田技研工業株式会社
ホンダが21世紀に向けてのライト・スポーツの提案として出展したのが“J-VX”です。運転する楽しみと環境への配慮を両立した車両をテーマとして展示されました。
走行性能を損なわずに燃費を大きく向上させるため、コンパクトな軽量ボディを採用。1.0L 直3 直噴 VTECエンジンとアシスト用薄型DCブラシレスモーターとで構成されたパワートレイン(IMA:Integrated Motor Assist)を搭載し、そこにホンダマルチマチックが組み合されています。
このシステムやデザインコンセプトは、約2年後に発表された初代インサイトに生かされ、市販されるに至ります。
日産自動車株式会社
街にあふれるオフロード走破能力を備えるRVは、いわゆるジープタイプから派生したスタイルです。そんな中で日産が提案したのが、スタイリッシュな4WDスポーツスペシャリティクーペ、“トレイルランナー”です。
VVL(可変バルブリフト&タイミング機構)を採用し、全域トルフクルなSR20VEエンジンと、マニュアルモード付きのHyper CVT-M6の組み合わせで、意のままのダイナミックな走りを実現。大径タイヤと高い地上高によりオールラウンドな走行安定性を実現しています。
次世代の若者が自らのライフスタイルを表現するためのパートナーとして相応しい近未来の一台です。
三菱自動車工業株式会社
新しい交通システムへの対応とクルマ本来の操る楽しさを追求し、ドライバー操縦モード・自動操縦モード2つの走行モードを兼ね備えた車。それが“HSR-VI”です。
三菱自動車は将来のモータリゼーションの姿として、限られた範囲を自由に移動するといった状況に加え、2つの地点を結ぶ高速移動での自動走行を考えました。これら2つの走行環境でより安全で快適に早く移動することができるよう、自動走行モードとドライバー操縦モードを設定しています。
また、三菱独自の4輪制御技術「S-AWC」の先駆けともなる技術として、ドライバーの意のままな走りを実現するAAS(ALL-wheel-Active Steer)+TWIN-AYC+ASC+ECSの各種走行制御機能の統合制御に加え、路面に対するタイヤの姿勢を常に最適に保つことができる4輪マルチリンクサスペンションを搭載しています。
富士重工業株式会社
スバルならではの軽快な走りとユーティリティを高いレベルで調和させた走りのニューコンセプトワゴン “エクシーガ”。
1995年開催の第35回東京モーターショーで発表された「α-EXIGA」という7人乗りのコンセプトカーの2代目として現実的な姿で登場しました。
このコンセプトカーは「エクシーガ」として2008年に市販化。7シーターパノラマツーリング」をコンセプトに、レガシィやインプレッサ、フォレスターなどで培ったワゴン作りのノウハウを注ぎ込み、乗員の全てがしっかり乗れる居住性を確保しつつ、走りの性能も引き上げられました。
マツダ株式会社
誰もが手軽にオープン走行が楽しめる、フルオープン2シーター・ライトウェイトスポーツ。新型“マツダ ロードスター”がお目見えです。
マツダは市販予定車として新型「マツダロードスター」を出展。オープンライトウエイトスポーツカーとして世界中で高い評価を受けた、初代ロードスターが培った「オープン走行の楽しさ」、「走る楽しさ、操る楽しさ」、「スタイリングを眺める楽しさ」をさらに高い次元で実現した2代目の登場です。
スズキ株式会社
1991年のデビュー以来、国内外で高い評価をうけている「カプチーノ」の基本思想を継承し、より進化させた小型オープン2シータースポーツ、“C2”。
1,644cc V8DOHCツインターボの新エンジンを搭載。そこに新開発の5AT、6MTが組み合わせられ、人とクルマが一体となったダイレクトな走りを実現します。
高性能を鮮やかに映すスタイリング。操る興奮に満ちたコクピット。ステアリングを握るたびに心が躍る、ミニマム・スーパースポーツカーの誕生です。
ダイハツ工業株式会社
むき出しの素材感を生かしたありのままの外観。自分が納得したクルマを創る楽しさを与えてくれる2WDの軽自動車。“NAKED (X070)”です。
当初、販売予定はなかったものの、同モーターショーでの反響が大きかったため、販売を決定。1999年に軽自動車として生産を開始します。
まとめ
今でこそEVやPHEVが当たり前の時代ですが、この頃は走りやパワーを売りにするような車も数多くありました。しかし当時からEVや自動運転の未来構想があったと分かります。
その未来へ一歩先に踏み出したと言う意味でも、プリウスの功績は非常に大きなものだと言えます。時代の流れだからではなく、その「流れを作る」ことが各メーカーにとって何よりも重要視すべきことだと思います。
コンセプトカーはそうした未来の生活などを想像し、デザインされています。我々はついつい外観のみの評価を下してしまいがちですが、各社が思い描く未来の姿を反映したものであるという見方をして見ると、また違った見え方がして面白いかと思います。
第46回東京モーターショー2019は、2019年10月24日(木)から11月4日(月・祝)まで、東京ビッグサイトを中心に開催することが決定しています。是非足を運んでみてはいかがでしょうか。