自動車部品大手のタカタが経営破綻しました。タカタ株式会社は、シートベルト・チャイルドシート・エアバッグなどを製造している大手企業であり、エアバッグで世界2位のシェアを誇っていました。自動車に欠かせない安全をないがしろにした安全装置メーカーは、今後一体どうなってゆくのでしょう。
目次
概要
タカタはエアバッグで世界2割のシェアを誇っていましたが、エアバッグの異常破裂による事故で7000万個以上がリコール対象となり経営が悪化、破綻に追い込まれました。
最終的な負債総額は1兆7000億円を超える見込みで、製造業としては戦後最大です。
出展:ja.wikipedia.org
タカタの高田重久社長は7月26日東京都内で行われた記者会見で、「すべての関係者の皆さま、債権者の皆さまにご迷惑をおかけすることになり、タカタ株式会社を代表いたしまして、心より深くお詫び申し上げます。」と陳謝したうえで、次の経営陣に承継できるメドがついた段階で辞任したい意向を示しました。
タカタはこれまで当事者間の交渉で進める私的整理で経営再建を進めてきたが、自動車メーカーの要求もあり、外部の専門家委員会の提案を踏まえて、透明性の高い法的整理を選ばざるを得ませんでした。
今後裁判所の管理下となり、中国・寧波均勝電子傘下のアメリカ自動車部品メーカー
「キー・セーフティ・システムズ(KSS)」の支援を受け、経営再建、信頼回復と商品の安定供給を目指しますが、500社を超える下請け企業への影響は免れません。
マスコミ非公開で開催された株主総会でも、経営責任を問う声が強くありました。
タカタは7月27日をもって上場廃止の予定ですが、ここ数年間の欠陥に対する対応に納得がいく人は少なく、経営陣の体質の問題を問う声も上がっています。
取締役6人の選任については、6割の株式を創業家が保有しているため、反対意見があったとしても続投される見通しです。ただ株主、自動車メーカーへの対応が遅れた経営陣への批判の声は免れません。
タカタのエアバッグのシェアは世界第2位ですが、今後は世界第1位のエアバッグメーカー、
オートリブに大きくシェアを奪われることになりそうです。
キーセーフティシステムズとは
タカタの再建に向けて、中国企業である寧波均勝電子の傘下である米自動車部品メーカー
「キー・セーフティ・システムズ(KSS)」から支援を受けることになっています。このKSSとはどういう企業なのでしょうか。
出展:bestjobs.eu
キー・セーフティ・システムズ(KSS)は、アメリカミシガン州に本社を置く、自動車市場向け先進安全システムのグローバルプロバイダーです。主にインフレ、エアバッグ、ステアリングホイール、シートベルトを開発・生産・販売しており、12カ国で36箇所に子会社を保有し、全世界で4,000人以上の従業員を有しています。
当社について…
キー・セイフティー・システムズ(KSS)はアクティブセイフティー、パッシブセイフティー、スペシャリティー製品の各分野の製品を自動車と非自動車関連のマーケットへ供給することによりシステムインテグレーションと安全性能に関わる部品のグローバルリーダーです。客先の使用にあわせて開発され、製造されるKSSの技術は世界中で60社以上、300車種以上にご採用いただいています。KSSはミシガン州スターリングハイツに本社を構え、世界中に32の営業、技術、生産拠点を持っています。当社は中国、ドイツ、日本、韓国、そしてアメリカの5つの国に主なテクニカルセンターを持っています。
引用:keysafetyinc.com
ちなみにステアリング・ホイール、ヘルメットなどのデザイン性の高い商品で有名なイタリアの自動車関連製造企業「MOMO」の製品製造も行っています。
オートリブとは
今回のタカタの経営破綻により、エアバック世界シェアNo.1にターボがかかったオートリブですが、一体どういう企業なのでしょうか。
出展:logosandbrands.dicrectory
オートリブはスウェーデンに本社を置く世界最大手の自動車安全システムサプライヤーです。
全世界の主要自動車メーカー向けにエアバッグ・シートベルト・ステアリングホイールなどの
開発・生産・販売を行っており、世界27カ国に83の支社と合弁会社をもつグローバルカンパニーです。1997年にアメリカを本拠とするエアバッグ製造企業のMorton ASPと合併し、世界的企業へと成長しています。
オートリブはエアバッグ、シートベルトなどの安全システムで世界シェア約4割占を占めています。
また、オートリブと高級車メーカーのボルボ・カーは27日、米半導体大手エヌビディアと自動運転車向けのシステム開発などで提携すると発表しました。タカタが経営破綻した裏側で、競合のオートリブは異業種連携をさらに加速させています。
まとめ
タカタが経営破綻したことで、今後国内メーカーへのタカタ製品の採用は、厳しくなることが予想されます。自動車という人の命に関わる製品において、求められる品質レベルは最高でなければなりません。その品質をないがしろにし、十分な対応をとらなかった責任は重大であり、安全について語る資格はありません。
安全装備が発達するに従って、その要求スペックは非常に高くなっています。そのスペックを満たすためには度重なる試行錯誤があるずです。その中で生まれた小さな妥協や見落としが、最終的に一つの企業の存続を揺るがすのです。
たとえ不良率が1%だったとしても、その不良品がユーザーに渡れば、そのユーザーにとっては不良率100%になってしまうのです。
今後は信頼回復に向けて、企業全体として安全装備のありかたを見直してほしいですね。