日産自動車といえば、昨今はゴーンショックのニュースが絶え間ないものの、昔から数々の名車を世に送り出してきた日本の大手自動車メーカーです。
しかしその歴史において、名車はおろか迷車にすらなりきれずに人々の記憶から消えてしまった車も数多く存在します。
目次
日産ルネッサ(R’NESSA)とは
1997年~2001年に販売されていた日産自動車のステーションワゴンです。
1997年10月22日から開催された「第32回東京モーターショー」にて発表され、同日より販売を開始しました。
「“パッケージ・ルネッサンス”~車輪の上の自由空間~」をコンセプトに開発されたM.A.V(マルチ・アメニティ・ビークル)で、車名のルネッサは”ルネッサンス”をもじったものです。
後席が57cmもロングスライドすることに加え、一部グレードでは前席を回転させることで後席と対面に座れる「リムジンシート」が最大の特徴です。
当時のCMでも、もちろんアピールしています。
▶【自動車CM】NISSAN R’NESSA /日産 ルネッサ (江川卓・内藤剛志・桑名正博) – private7TV
ステーションワゴン?
日産はステーションワゴンとして分類しているものの、当時各種メディアからはミニバン、クロスオーバーSUV、ハッチバック、トールワゴンに分類されるなど、いまいちはっきりしない車でした。
ステーションワゴンにしては背が高く、SUVにしては屋根が低く、ミニバンにしては狭いこの車。全長は4,680mmで5ナンバーサイズにかろうじて収まっているものの、全幅が1,765mmと広く、結果的に3ナンバー登録となります。
後席が大きくスライドできることが特徴ですが、その居住性は二重底かつ高床方式の車体構造と低い屋根のせいでイマイチだったようで、しかもスライドをする後席に対してシートベルトは固定されており、位置を合わせるのが困難で安全性も犠牲にしていました。
EVも
そんなルネッサですが、環境に対応した電気自動車仕様が存在します。日産自動車は1998年に「ルネッサEV」を発表します。
重量360kgという軽量かつ高性能なリチウムイオン電池を搭載することで、一回の充電でおよそ230km以上走ることができ、日常の足として充分な航続距離を確保しています。エネルギー効率90%以上という省エネ超小型の永久磁石式同期モーターを搭載し、滑らかで力強い走りが楽しめるのも特徴です。
こちらは販売ではなくリース契約となっており、3年リースで月額約27万円でした。うーむ高い!
実は・・・
しかしベースのガソリン車が発売したわずか1年後にEV仕様が完成するはずがありません。
スペースを売りにしたこの車、実はもともと米国カリフォルニア州向けの電気自動車である、日産アルトラEV(Altra EV)を開発するついでに生まれた副産物的な車だったのです。
2800mmにも及ぶ長大なホイールベースや、二重構造の高床など、いまいちはっきりしないレイアウトは、全て電池の搭載を考慮したことによるものでした。
このアルトラEVは1997年12月29日にロサンゼルス国際オートショーにて発表され、当時日産はこの車について「セダンでありSUVであり、ミニバンでもある」と言及しています。(出典:https://web.archive.org)
日本におけるルネッサEVと同じく、主に電気などを扱う企業向けのリースとして展開され、日本と合わせて200台程が製造されたのみとなっています。
もともとEVありきの車だったのです。
そして終焉
発売当初は月に6,500台の販売目標を設定していたものの、当初から月平均1,000台強と販売は低迷。1999年の時点では月数百台ペースに落ち込み、末期には月数十台ペースまでに落ち込んでいました。
そして2001年7月 販売不振のため生産終了となります。
総販売台数はわずか約4万台。今ではすっかり見かけないレア車の一台となりました。街で見かけたら「リムジンシートのルネッサ」だと周りに教えてあげましょう。(実はこの記事を作成中に1台見かけてしまったのですが・・・ここまできたら是非乗り継いでもらいたいですね^^;)