新型ジムニー/ジムニーシエラは、新型にもかかわらずその機能美を重視したデザインによるキープコンセプトが受け大人気となっています。
そんな小型オフローダーとしての地位を独占しているジムニーですが、隣国ロシアにはそのライバルとも言うべき車が存在しているのです。
その名はラーダ「ニーヴァ(別名:4×4)」。最強の雪国ロシアで作られたその車は、ジムニーと比べてどう違っているのでしょうか。
目次
ラーダとは
1966年に設立されたロシア最大の自動車メーカー アフトヴァース(AvtoVAZ/АвтоВАЗ)が製造・販売を行っている自動車ブランドが「ラーダ」です。ちなみにアフトヴァースは2014年にルノー・日産が経営権を取得しており、 ルノーおよび日産、ダットサンブランド車の製造も行われています。
ニーヴァとは
今回取り上げる「ニーヴァ」は1977年の発売以来大きく形を変えることなく生産され続ける超ロングセラーの小型オフローダーです。
なかでも「ニーヴァ BRONTO」はその性能をさらに高めた最上級仕様となっており、まさにロシア最強の小型オフローダーと言えます。
「電動サイドミラー」をわざわざ特徴にあげるほど、必要なもの以外は何一つついていないタフ仕様。(なぜかシートヒーターはついている模様)大径オフロードタイヤにより車高を上げ、フロントサスペンションやリアアクセルを強化した正真正銘のメーカー純正仕様です。
そんなニーヴァBRONTO(以下ニーヴァ)とジムニーは一体どちらが小型オフローダーとして優れているのでしょうか。規格を考慮してジムニーシエラ(以下ジムニー)と比べてみましょう。
デザイン
まずはデザインを比較してみましょう。
エクステリア
新型ジムニーは2018年7月の発売。原点回帰したボクシーなスタイルがキャラクターをより際立たせています。しかし最新の先進安全装備も搭載されるなど、時代に合わせた進化をさせています。
一方のニーヴァは原点回帰どころか原点から動いていないデザインが何と言っても特徴です。
いずれもヘッドライト、ウインカーは外に張り出しておらず、オフロード走行時の破損を防ぐデザインとなっていますね。こうして並べるとキャラクターがよく似ていると感じます。
インテリア
新型ジムニーに比べ、ニーヴァは30年前のそれ。道具感というよりシンプルに古臭いですね・・・(^_^.)
しかし安全装備などが全くないのでその分単純ですから、比べるとしたら先代のジムニーが妥当でしょうか。
先代ジムニー
サイズ
どちらも小型ですが、比べると以下のようになります。
項目(mm) | ジムニー | ニーヴァ |
全長 | 3,550 | 3,740 |
全幅 | 1,645 | 1,713 |
全高 | 1,730 | 1,740 |
ホイールベース | 2,250 | 2,200 |
ニーヴァは小柄に見えますが、意外とでかいのです。
ホイールベースはジムニーが若干長くなっていますが、おおむね同じサイズと分かります。ちなみに先代ジムニーと並べるとそのサイズ感が良く分かります。
エンジン
エンジンは以下の通りです。
項目 | ジムニー | ニーヴァ |
種類 | 直列4気筒 | 直列4気筒 |
総排気量(L) | 1,460 | 1,690 |
最高出力(kW/rpm)ネット | 75<102PS>/6,000 | 61 <83PS> / 5000 |
最大トルク(N・m/rpm)ネット | 130/4,000 | 129 / 4,000 |
燃料タンク容量(L) | 40 | 42 |
車体の大きさが同等なので、エンジンもおおむね同じようなものが搭載されています。
ですが排気量の少ないジムニーの方が最高出力、最大トルクともに上回っていることからも、やはりニーヴァのエンジンには世代の差があるように感じます。
ちなみにジムニーの最高速度は145km/h。0-100km/hはおよそ12秒(ネット情報)とのこと。対するニーヴァの最高速度は137km/h。0-100km/hはおよそ18秒(メーカーHP情報)とのことです。
パフォーマンス
オフロード性能に必要不可欠な条件を見てみましょう。
項目 | ジムニー | ニーヴァ |
総重量(kg) | 1,070(4AT)/1,090(5MT) | 1,285 |
タイヤ | 195/80 R15 | 235/75 R15 |
最低地上高(mm) | 210 | 240 |
ニーヴァには大きなタイヤが搭載されており、その効果も相まって最低地上高も大きく取られています。30mmの差は大きいですね。
エンジン等のコンポーネントが古いニーヴァは、総重量がジムニーに比べ200kg近く重くなっています。
快適装備
ニーヴァの快適装備としてホームページ上に公開されているものは以下の6つのみです。
• シートヒーター
• 油圧式パワーステアリング
• シャシーノイズと振動を低減するCVJ(等速ジョイント)シャフト
• エンジンからの微振動を低減する振動吸収材
• 電動ワイドサイドミラー
• エアコン、非熱ガラス
当然自動ブレーキやクルーズコントロールなどはありません。これは比べるまでもありませんね・・・。
まとめ
ロシアというとあまり進んだイメージはありません。未だにこうした古い基準の車が売られているあたり、そう思わずにはいられませんが、古き良き自動車が新車で買えるのは羨ましい部分でもあります。(当のロシア人はどう思っているか分かりませんが・・・)
かつては軍事大国として数々の先進技術を持っていたロシアですが、昨今の自動車産業が後れを取っている理由としては、やはり資本主義であることに加え、ロシア特有の気候が関係していると思います。雪道、氷道、真っ白で視界の悪い中を走ることが多く、そこを技術でカバーすることが難しかったのではないでしょうか。結果として個々の運転技術にゆだねられ、ドライブレコーダーの映像でおなじみの国となったのでしょう。普及率にも納得です。
初代ジムニーシエラの発売は1993年。時代に合わせつつもその個性を貫き通したジムニーと、変わることさえ必要としない孤高の存在ニーヴァ。似ているようで似ていない。まるで行き分かれた兄弟のような2台です。