自動車は常に進化し続けており、次々と新しい技術が搭載されてゆきます。パワートレインから安全装備など様々ですが、今では当たり前の装備も、もちろん初登場の時期があったわけです。
というわけで、今では当たり前となった仕組み、装備が初めて搭載された車をいくつか見てみましょう。
目次
パワーウインドウ
パッカードは世界初のパワーウインドウとして油圧式のパワーウインドウを1941年製パッカード180シリーズに採用しています。上げ下げの操作は電子スイッチで行うことができます。
ドアパネルの茶色いものが上下のスイッチ
1941年にはフォードがリンカーンのリムジンカスタム仕様に搭載しており、キャデラックは75シリーズの後部座席との仕切り窓にパワーウインドウを設けています。
エアバッグ
数多くの試作品はあるものの、商品として世に出たのは1974年から1976年モデルにかけてGM初の実験的製品でエアクッション・リストレイント・システム(Air Cushion Restraint System)と名付けられた運転席と助手席のエアバッグを装着したオールズモビル トロネードが世界初の搭載車と言えます。
1974 オールズモビル トロネード
1981年にメルセデスベンツがフラッグシップサルーンのSクラス(W126)にオプションとして設定しています。
1987年にはポルシェ944ターボが世界で初めて運転席と助手席にエアバッグを標準装備しています。グレードの低い944と944Sではオプションとなっています。同じ年にホンダレジェンドが日本で初めて運転席用のエアバッグを搭載しています。
シートベルト
1917年から1938年まで存在したアメリカの自動車メーカー ナッシュ・モーターズ(Nash Motors Corporation)が1949年にオプションとして搭載したのが始まりと言われています。次いでフォードが1955年に同じくオプションとしてシートベルトを設けています。
ボルボは現在主流となっている3点式シートベルトを1959年に公開しています。この3点式シートベルトが初めて採用されたのは1959年8月13日にスウェーデンのクリシャンスタードにあるディーラーへ出荷された「ボルボPV544」ですが、標準装備として最初に搭載されたのは1959年製「ボルボ122」となります。
ボルボ122
サンルーフ
サンルーフを初めて採用したのはアメリカ合衆国の自動車メーカーナッシュ・モーターズで、1937年に製造したいくつかのモデルに搭載されています。
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シートヒーター
オプションとしては1966年製キャデラック デビルが世界で初めてシートヒーターを採用しています。
1966 キャデラック デビル
また、運転席のみですが1972年製サーブ 99と96が世界で初めて標準装備しています。
タッチスクリーン
タッチスクリーンは車のあらゆる機能をコントロールすることができる最新装備ようですが、モノクロの時代から存在しています。
1986年製ビュイック リビエラには世界初のタッチスクリーンが装備されており、ラジオ、エアコン調節、走行距離といったGM曰く「ゲージ」類の気を狂わせんばかりの主張を感じさせます。
1986 ビュイック リビエラ カタログより
ヘッドアップディスプレイ(HUD)
ヘッドアップディスプレイはもともと戦闘機パイロットのために開発されましたが、今日ではさほど高価でもないコンパクトカーにさえ搭載されるほどになっています。
1988 オールズモビル カトラス シュプリーム
GMは1988年製オールズモビル カトラス シュプリーム (インディ ペースカー レプリカ)に世界で初めてオプションとして搭載しましたが、この車の仕上がりは酷いものでした。幸運なことにGMは他モデルにも搭載することができ、1996年にはC5コルベットに業界初のカラーHUDを搭載させています。その後もGMグループであるビュイック、ポンティアック、キャデラックへと拡大させました。
リアビューカメラ
初めてリアビューカメラが搭載されたのは、1956年に発表されたビュイック センチュリオン コンセプトです。
1956 ビュイック センチュリオン コンセプト
この車はリアにカメラが設置されており、ダッシュボードに埋め込まれたテレビモニターに映像を映し出しすことができます。バックミラーに取って代わるという当時としては画期的なアイデアでした。
世界で初めて量産されたのは1991年製トヨタ ソアラ リミテッドです。しかしソアラをベースにしたレクサスSCには搭載されず、リアビューカメラは日本限定の仕様だったようです。カラーEMVスクリーンとリアスポイラーに設置されたCCDカメラを用いた仕組みとなっています。
自動ブレーキ
2003年6月に発売されたホンダ・インスパイアで初めて自動でブレーキ操作が行われるようになりました。それまでは衝突の可能性を検知するとシートベルトを強く締めるようなものでしたが、実際に減速を行う仕組みはホンダが開発したCMBS (Collision Mitigation Brake System) が初めてです。
ホンダ インスパイア
ミリ波レーダーを利用して先行車を監視し、追突の危険が生じた場合、運転者に対し警告音・シートベルト引きこみ・インパネ内表示等で知らせ、追突回避が不可能と判断した場合はブレーキ制御を行うものですが、ブレーキ制御は追突を回避するために行われるのではなく、あくまで追突による被害軽減を行う目的であるため、運転者は従来どおりに運転を行う必要があります。
ですが今日の自動ブレーキの先駆けと言える素晴らしい技術です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
先進装備のように見えて、意外と昔から存在しているものが多いと分かりますね。その中からは試作段階のものやコンセプトを経て、はるか昔から自動車の利便性、安全性、快適性を追い求めてきた技術者の思いが伝わってきます。
そういった努力があるからこそ、現在の装備があるのです。