高速道路で起きた1件の交通事故。
停車していた車に後続車が追突したものですが、それだけではありません。なんと停車していた車は発売されて間もない新型車で、故障してしまった可能性があるのです。
この一件、ヤバい予感がします。
目次
圏央道での事故
2023年4月22日15時前頃、圏央道外回り川島IC付近で事故が発生しました。
1台のSUV(マツダ・CX-60)が非常駐車帯からはみ出た状態で停車していることろに、後ろから来た大型トレーラーが突っ込みました。
車は大破し、散乱した部品などで車線規制が行われました。
圏央道 川島出口前で玉突き事故
これよく人生きてたな…
けが人でてたけどとりあえずみんな生きててよかった pic.twitter.com/mBRKmJWKtm— ベル@NAどうでしょう (@sil__27) April 22, 2023
CX-60
CX-60はマツダが製造・販売するクロスオーバーSUV。
マツダのラージ商品群の第1弾として位置づけられる新型車として2022年3月9日に欧州で世界初公開され、後輪駆動ベースの四輪駆動システム「i-ACTIV AWD」を搭載した新開発のプラットフォームを搭載しています。
直列6気筒のディーゼルターボエンジンを採用し後輪を駆動させる、これまでにないパワートレインが特徴となっています。日本での予約受注は2022年6月24日より開始し、e-SKYACTIV D搭載車は同年9月、その他モデルは同年12月に販売が開始されています。
トラブル多発
しかしこのCX-60、発売開始直後から不具合や故障が連発しており、多数のリコールを実施しています。
令和04年9月22日届出
(1)フロントスタビライザにおいて、コントロールリンクを固定するナットの締め付けトルクの設定が不適切なため、段差の乗り越え等でフロントスタビライザに捻じれが加わった際の入力により締め付けナットが緩み、がたつきや異音が発生することがあります。そのため、保安基準第14条の緩衝装置に求められる要件を満たさないおそれがあります。
(2)電力変換装置(インバータ)において、インバータ起動制御プログラムが不適切なため、エンジンを始動する際にインバータを起動できず、エンジンが始動しないことがあります。またハイブリッドシステムの異常を知らせるメッセージがメータ内ディスプレイに表示されるおそれがあります。改善措置の内容
(1)全車両、コントロールリンクを固定するナットを変更した規定トルクで締め付けます。
(2)全車両、インバータの制御プログラムを対策プログラムに書き換えます。対象台数
879台
令和04年11月17日届出
エンジンのオイルポンプチェーンにおいて、製造時の組み付け作業が不適切なため、正しい位置に組み付けられていないものがあります。そのため、オイルポンプチェーンが外れてオイルポンプが停止すると、油圧が低下することで油圧警告灯およびエンジン警告灯が点灯してエンジン出力に制限がかかり、最悪の場合、エンジンが焼き付くおそれがあります。
改善措置の内容
全車両、エンジンを良品と交換します。
対象台数
20台
令和05年4月6日届出
(1)トランスミッション制御コンピュータにおいて、制御プログラムが不適切なため、変速時やEV走行からのエンジン再始動時に、
強めにブレーキを踏むと締結しているクラッチが解放しないことがあります。そのため、エンジン回転が低下し、最悪の場合エンストする
おそれがあります。
(2)電力変換装置(インバータ)において、制御プログラムが不適切なため、プッシュボタンスタートをオフした直後にオンするとインバータが
起動しないことがあります。そのため、アイドリングストップ後にエンジンが再始動できなくなります。また、バッテリーへの充電が停止
するため、充電警告灯が点灯し、最悪の場合エンストするおそれがあります。
(3)コンビネーションメータ(フル液晶タイプ)において、制御プログラムが不適切なため、メータの液晶画面を表示するための起動制御が完了
できないことがあります。そのため、速度計や警告灯等が表示できないおそれがあります。改善措置の内容
(1)全車両、トランスミッション制御コンピュータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。
(2)全車両、インバータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。
(3)全車両、コンビネーションメータの制御プログラムを対策プログラムに修正します。対象台数
10682台
早いモデルで2022年9月に発売を開始しておりますが、1年もたたないうちに複数件のリコールが発生しています。エンジンやプラットフォームが全て新規開発とはいえ、仕方がないでは済まされない多さです。
不評も多い
こうした不具合、故障は当然ユーザーに降りかかります。
以下は「価格.com」の記事作成時点での新車販売中のSUV満足度ランキングから国産メーカーを抽出したものです。
CX-60は最多の投稿数がありながらも、満足度は5点満点中3.66と低評価です。対して同社のSUV、CX-5やCX-8が高評価であることからも、今回の新型プラットフォームにおける不具合が多いことを示しています。
理由は様々ですが、走行時の異音、乗り心地の悪さ、システムの誤作動等が挙げられています。リコールの多さからも分かるように、多くの方が「完成度が低い」「車が未完成」だと述べています。
ついに起きた事故
そして冒頭の事故が起きました。
詳細は不明ですがこれらの状況から見て、CX-60に走行不能となるようなトラブルが発生した可能性が高いのです。
いくら頭が悪いとしても、退避する場所もない高速道路上に停車することは考えられません。車両はハザードを出していることが確認でき、故意に停車していたものではないと考えられます。
追突したトラックの過失が大きいのは当然ですが、もし停車していた理由が車両の不具合によるものだとしたら、メーカーの責任は重大です。
自動車メーカーは安全安心を最重要項目として製品づくりをしなければならず、いつどこで車が動かなくなるか分からないようなものは、世に出してはいけません。
このご時世に直列6気筒で後輪駆動を新規で開発すると言う大博打を失敗で終わらせるわけにはいかないでしょう。しかしもしその中で安全を蔑にしてしまっていたなら、自動車メーカー失格と言われても仕方ありません。
あくまで個人の憶測でしかありませんが、今後の動向に注目です。