金融商品または企業・政府などの信用状態に関する評価を簡単な記号または数字で表示した等級を「信用格付(しんようかくづけ)」といいます。
日本では金融庁に登録を受けた格付会社が格付けを行っており、信用格付業者と呼ばれます。
債権の売買・保有を行う場合、こうした企業に対する評価を参考にするのですが、もちろん自動車メーカーも評価されています。
2022年~2023年時点での各自動車メーカーの格付けを比較してみました。
目次
各社比較
各社の格付けを見てみましょう。会社によって公表している格付の種類は異なります。
格付けの種類、定義などについてはコチラの過去記事を参照ください。
※メーカーサイトに日付の記載がある場合はその日付となっていますが、記載がない場合は各格付機関におけるレポート発行時の日付としています。
トヨタ
(2020年9月11日現在)
格付機関名 | 長期債務格付 |
---|---|
スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) | A+ |
ムーディーズ | A1 |
格付投資情報センター (R&I) | AAA |
日本格付研究所(JCR) | AAA |
ホンダ
日産自動車
(2023年3月9日現在)
格付機関名 | 長期債務格付 | 短期債務格付 |
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) | BB+ | A-3 |
ムーディーズジャパン(Moody’s) | Baa3 | P-3 |
格付投資情報センター(R&I) | A | a-1 |
(S&P)日産、1段階格下げ=収益性に見劣り 2023/3/9
格付け大手S&Pグローバル・レーティング・ジャパン(東京)は9日までに、日産自動車の長期発行体格付けを「BBBマイナス」から「BBプラス」に1段階引き下げた。中井勝之主席アナリストは同日の説明会で、「厳しい収益状況をより明確に格付け評価に盛り込んだ」と説明した。
日産の「BB」カテゴリーへの格下げは、経営危機後の2002年以来、約20年ぶりという。
三菱自動車
(2022年8月22日現在)
格付機関名 | 長期債務格付 |
---|---|
格付投資情報センター(R&I) | BBB+ |
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) | BB |
スズキ
(2022年8月30日時点)
格付機関名 | 長期債務格付 | 短期債務格付 |
---|---|---|
格付投資情報センター(R&I) | A | a-1 |
ダイハツ
(2023年2月8日時点)
格付機関名 | 長期債務格付 |
格付投資情報センター(R&I) | AA+ |
スバル
(2022年10月13日時点)
格付機関名 | 長期債務格付 | 短期債務格付 |
---|---|---|
格付投資情報センター(R&I) | A- | a-1 |
マツダ
(2022年9月16日時点)
格付機関名 | 長期債券格付 | 短期債券格付 |
日本格付研究所(JCR) | A- | – |
格付投資情報センター(R&I) | BBB+ | BBB- |
ランキング
信用格付け業者によって同じ会社でも評価は違っていますが、どのメーカーにも格付けを行っているR&Iの格付けを上記の格付け定義にのっとって並べてみましょう。
順位 | 企業名 | 長期・発行体格付(R&I) |
1 | トヨタ | AAA |
2 | ホンダ | AA |
2 | ダイハツ | AA |
4 | 日産 | A |
4 | スズキ | A |
6 | スバル | A- |
7 | マツダ | BBB+ |
7 | 三菱 | BBB+ |
こういった順位となりました。トヨタは継続的な商品力向上の取り組みが成果
をあげており、ここ数年でグローバル全体の市場シェアが向上している点が評価されています。
一方で日産自動車ですが、未だ収益性を回復させることは難しいとの見方を示し格下げとなっています。収益性の高い高級車が販売不振なのも痛手です。
これらの信用格付は、その会社および連結子会社が格付機関に提供する情報または格付機関が信頼できると考える他の情報に基づいて行われるとともに、発行する特定の債券に係る信用リスクに対する評価に基づいています。各格付機関は信用格付の評価において異なった基準を採用することがあり、かつ各格付機関が独自に評価を行っております。これらの信用格付はいつでも格付機関により改訂または取り消しされることがあります。
格付は債券の売買・保有を推奨するものではありませんが、こういったところからも、大まかに各企業の安定性を見ることができますね。