驚きのニュースが飛び込んできました。
BMWが排ガスのデータをよく見せるため不正なソフトウェアを使用していたというのです!
目次
不正なソフトウェアを搭載
【フランクフルト時事】
ドイツ高級車大手BMWが、一部のディーゼル車で排ガス浄化機能を操作する不正なソフトウエアを搭載していたことが判明し、リコール(回収・無償修理)する方針であることが分かった。独誌シュピーゲルなど複数の独メディアが23日、報じた。
ディーゼル車の排ガス不正では、フォルクスワーゲン(VW)が検査をすり抜けることを目的に違法なソフトを使用していたことが発覚し、世界的事件に発展したほか、ダイムラーも同様の疑惑で独検察の捜査を受けている。BMWは排ガス不正についてはこれまで一切否定してきた。
報道によると、対象は高級セダンの「7シリーズ」と「5シリーズ」の独国内約1万1700台。リコールについて運輸当局と協議中という。DPA通信によると、BMWは、ソフトが誤って搭載されたなどと弁解しており、意図的な不正は否定しているという。
出展:www.jiji.com
BMW 7シリーズG11/G12 (2015~)
BMW 5シリーズG30/G31(2017~)
BMWは国外にも対象車がないかどうか調査を進めているようです。
フォルクスワーゲンの動向
排ガス不正と言えば、2015年9月18日に発覚した同じくドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの排ガス不正問題ですが、こちらはディーゼル車の一部車種が、排出ガス規制を不正に潜り抜け、規制値を大幅に上回っていることが、アメリカ合衆国で明らかになったものです。
結局どうなったの?
フォルクスワーゲンによる排ガス不正問題で、米ミシガン州デトロイトの連邦地裁は2017年12月6日、不正に関与したVW元幹部のオリバー・シュミット被告(48)に禁錮7年と40万ドル(約4500万円)の罰金支払いを命じたと複数の米メディアが報じました。
不正への関与で刑事訴追された8人のVW幹部のうち、有罪判決が出たのは2人目となり、米国での環境規制対応の責任者だったシュミット氏は2015年、排ガス制御に関わる違法なソフトウエアの搭載を知りながら、基準を満たさないディーゼル車の認定を得るため、他の幹部らと共謀して不正を隠蔽していました。
ちなみに2017年7月にはベンツでおなじみダイムラーが100万台以上のディーゼル車で違法な排ガス制御をしていた疑いが発覚し、ディーゼルエンジン車について300万台超のリコールを実施しています。
VW 日本では新型車発売へ
前述の通り、2015年に発覚した独フォルクスワーゲンの排ガス不正問題の影響を受け一時期売れ行きは大きく落ちました。しかし2017年は前年と比べて約10%増の約15万6000台と再び増加に転じています。
しかし日本国内の自動車市場ではディーゼル車の人気が再び高まっており、自動車各社はディーゼル車の品ぞろえを増やし、競争が激しくなってきています。
そのあおりを受けて、VWは今年2月、ディーゼルエンジンを搭載した乗用車「パサート」を発売しました。VWが日本市場でディーゼル車を販売するのは20年ぶりとなります。
中型車『パサートTDI』シリーズ
セダンとワゴンの「パサートヴァリアント」をラインナップ
価格はセダンが422万円台~489万円台、ワゴンが442万円台~509万円台
すでに他国では展開されていたパサートのディーゼルエンジンモデルですが、日本の排ガス規制に対応すべく準備していた矢先、米国でのコンピュータプログラム不正問題が発覚、販売面にも影響を受け、ディーゼルの導入どころではなくなっていたところです。
今回の導入は、その問題もある程度落ち着いたと考えた結果でしょう。しかしそんな矢先、BMWの疑惑が出てきてしまった形です。同じ欧州メーカーとして、やはりイメージの悪化は避けられません。
まとめ
BMWのリコール対象車は今のところドイツ国内のみとのことですが、国外にも対象車があるとしたら、大規模リコールもあり得ます。フォルクスワーゲンの不正発覚時にBMWは同じような不正は存在しないと否定していただけに、高級車ブランドとしての在り方・ブランドイメージに悪影響を及ぼすことになるでしょう。
そもそも現在のEVブームは、欧州のディーゼルの限界に端を発したものであり、この一件でますますEVの流れが「正当化」されてゆくことと思います。しかしそのなかでも多くの規制を達成する必要があるのはこれまでのガソリン、ディーゼルと同じことでしょう。そこで「EV航続距離を水増ししてました」などという不正がでてきては同じことです。
EVシフトの流れの中、インドでは一度掲げた「2030年までに国内を全車EV化する」という政策を一転見直し、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も含めるといった柔軟な対応に変換しています。こうしたゆとりを持たないと、いつまでたっても目指すべき未来は来ないのかもしれません。