三菱のパジェロが復活すると言う噂がまことしやかにささやかれています。
パジェロは2019年に日本向けが生産終了、海外向けも2021年に終了していますが果たして復活するのでしょうか。その場合どういった車になるのでしょうか。考えてみました。
目次
①パジェロスポーツをパジェロとする?
トライトンが使用しているラダーフレームを共有するという可能性です。しかしその場合、実質的には「パジェロスポーツ」の後継となります。
パジェロスポーツとは、トライトンと共通のラダーフレームを採用するSUVタイプの車で、トライトンが新型になったことで必然的に「新型パジェロスポーツ」が出てくることになり、これを国内に導入するという可能性です。
2019 パジェロスポーツ
しかし国内に導入する場合「チャレンジャー」の後継ということになります。
チャレンジャーは2代目パジェロのラダーフレームを流用し、日本では1996年から2001年まで販売されていた車で、パジェロの弟分のような車でした。これがモデルチェンジすると同時に日本での販売は終了。パジェロスポーツとして海外専売となりました。
1996 チャレンジャー
しかしいまさらチャレンジャーという名前で出てくることは考えにくいです。実質「パジェロ」ではないため、これをパジェロと名乗ることも考えにくく、可能性としては海外と同様「パジェロスポーツ」とするか、国内だけ「パジェロ○○」のように別名が与えられるかと考えます。しかしこの場合「パジェロ」の正式な後継とはなりません。
②アウトランダーの大きい版をパジェロとする?
アウトランダーのプラットフォームを使用し、アウトランダーよりも大型なSUVとする可能性です。この場合モノコック構造となり、PHEVといった電動化も考慮されるでしょう。
2021 アウトランダー
大型のSUVでもモノコックを採用する例は多く、その多くは高級SUVとして存在しています。悪路の走破性も持ちながら快適な取り心地と、都市でも映える存在感を有した車になると考えられます。
国内をみてみれば、大型SUVはラダーフレームを採用するトヨタ・ランドクルーザーシリーズのみとなっており、今なお大きな人気を誇っています。しかしながら実際に悪路を走るわけでは無くファッションとして乗る人が大半で、その場合乗り心地や地上高の面でラダーフレームという構造は決して適切な車だとはいえません。
より乗りやすく存在感のある大型SUVとすれば、ニーズはあると考えられます。
パジェロの条件とは
では、そもそもパジェロとはどうあるべきなのでしょうか。
①ラダーフレームである必要は無い
初代、2台目はラダーフレームを使用していましたが、3代目からはラダーフレームを組み込んだ「ビルトインフレームモノコック」というモノコック構造に変わりました。この大きな変更の理由としては、パリダカールラリーの勝利を見据えたものでした。
ダカールラリー 1994
パリダカでは砂漠を高速で走行する必要があり、従来のラダーフレームでは重心が高く不利に働いていました。それをモノコック構造とし低重心化を実現し、さらに4輪独立懸架サスペンションにすることで高速走行時の路面に追従した無駄のない動きを実現させました。曲げ、捩り剛性ともに大幅に向上させています。
つまりパジェロだからといってラダーフレームである必要はないのです。
②本格クロカンである必要は無い
そもそもパジェロとは、これまでのジープのようなRVをより乗用車チックにした車として大ヒットしたものです。言い方を変えればより柔和なRVであり、先述したようなラダーフレームで岩場を登るようなものではありません。
トヨタ・ランドクルーザーは現在でもラダーフレームを採用し、本格クロカンの代名詞的存在となっています。「本格クロカン」と言うと岩場をゆっくりと登っていくようなイメージがあるかと思いますが、それだけがクロカンではありません。
そう言った意味ではより現代にマッチしたPHEV等の電動車であっても、パジェロの進化として何ら違和感はないと言えます。
しかしこれだけでは、ただの大型SUVに留まります。これでいいのでしょうか。
③パリダカで勝つ必要がある
パジェロの歴史はパリダカの歴史であり、進化の過程にもパリダカの存在がありました。パジェロとして復活させるからには「パリダカで勝つことを前提とした車である」必要があり、すなわち「パリダカで勝つ」ことがパジェロの条件と言えます。
ダカール・ラリー 2004
モノコックでも電動車でも、パリダカで勝って初めてパジェロとして認められるのです。逆にいえば発売して終わりでは、まったくもってパジェロとは言えません。開発の段階からラリーで勝つことを念頭に置き、実際に勝つ必要があるのです。
パリダカには26回参戦して前人未踏の7連勝を含む通算12勝を挙げ、パジェロは砂漠の王様として世界中に名を馳せました。このスピリットを継承しなければ、パジェロとして到底認められるものではありません。
【ダカール・ラリー成績】
・総合優勝 12回
・市販車改造部門 優勝 13回
・市販車無改造部門 優勝 9回
・スーパープロダクション部門 優勝 6回
・マラソン部門(市販車無改造) 優勝 6回
まとめ
以上のことからパジェロの条件とは、「ラリーで勝てる車」であると言えます。
このご時世パリダカは難しくても、ラリーを含む何かしらのモータースポーツで結果を出すことがパジェロとして意味のあることであり、それこそが競合他社と比較してアドバンテージになるのです。
ただの大型SUVでは話になりません。パジェロを復活させるということはそれだけハードルの高いものなのです。