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【ホンダ】N-VANのEVが登場!ミニキャブ・ミーブ危うし?

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ホンダは2022年12月7日、軽商用バン「N-VAN」をベースにした新型軽商用EVを2024年春に発売すると発表しました。

2022年現時点で唯一の軽EVバンである三菱・ミニキャブミーブが直接的なライバルとなりますが、人気のNシリーズに加わるEVに太刀打ちできるのでしょうか。

目次

2022年12月7日 発表

ホンダは今後のラインナップに軽EVが加わることを発表しました。

本田技研工業は12月7日、軽バン「N-VAN(エヌバン)」をベースとした新型軽商用EV(電気自動車)を2024年春に発売すると発表した。

ホンダは2050年に同社が関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指しており、この実現に向けて四輪車においては2030年までにグローバルで30種類のEV展開を予定している。

その中で日本市場においては軽自動車があり、中でも商用車は環境負荷低減の観点で企業の電動化に対するニーズが非常に高いことから、軽商用EVを皮切りに軽EVを展開していく。

新型軽商用EVは、2018年の発売以来着実な実績を積み重ねた軽商用バンであるN-VANがベース。新型軽商用EVはN-VANの使い勝手を踏襲しながら、EVならではの高い静粛性や、ストップ&ゴーの多い交通環境に適した力強い加速を実現。これにより、近年需要の高まる街中でのラストワンマイル配送などの商用利用に加え、個人ユーザーの日常使いにも柔軟に対応する、日本の暮らしになじむEVとなることを目指しているという。

EVにおいて課題となる航続距離についても200kmを目標としており、商用利用はもちろん、日々の買い物や通勤・通学、趣味活用などに対応する実用性を兼ね備える。また、価格についてもガソリン車と同等の100万円台からの設定とすることで、カーボンニュートラルの実現に向けてEVの普及を進めるとのこと。

今後、2024年春の発売に向けてさまざまなビジネス現場における実用性の検証を予定しており、これを通じて軽商用EVとしてより一層使い勝手を磨き上げ、商品性を高めていくとしている。

出典:https://car.watch.impress.co.jp

軽商用EVといえば2022年現在、三菱・ミニキャブミーブ(以下ミニキャブ)の1モデルしか国内に存在していません。軽EVバンを買うならミニキャブしか選択肢がない状況がしばらく続いていましたが、その選択肢が広がることになります。

それ以上に、この新型EVの登場にミニキャブは生き残ることができるのでしょうか。さまざまな項目ごとに検証してみたいと思います。

外観

まずは外観を比較してみます。

コンセプト画像

現行N-VAN

ミニキャブ

まず、今回のコンセプトモデル(以下N-VAN(EV))と現行N-VANを比較して気がつくポイントが2つあります。1つはガソリンの給油口が無いこと。そして2つ目にフロントグリルに設けられた2つのふたのようなものです。ここから推測するに、普通充電と急速充電のソケットがフロントグリルに設けられていると考えられます。この画像では見えないアングルに設置される可能性もありますが、ホンダが既に販売している電気自動車「ホンダ・e」がフロント設置型なのでそう考えるのが自然でしょう。

ボディ形状はN-VANと大きく変更されていないようです。

そしてミニキャブですが、もともとガソリン車として1999年に販売を開始して以来、基本構造やデザインに大きな変更はありません。しかし古典的なバン形状により、最低地上高や広い荷室に軍配が上がります。

外観:引き分け(好みによるため)

内装

N-VAN(EV)の内装について詳細は不明ですが、ベース車となる現行のN-VANと比較してみます。

N-VAN

ミニキャブミーブ

N-VANのインパネは、商用車というより乗用車のようなデザイン性を感じます。シートもしっかりとしており、そこそこの長距離でも疲れない配慮がされています。N-VAN(EV)もこのレベルと予想できます。

ミニキャブのインパネはガソリンモデルが発売された1999年のものをそのまま使用しており、一昔以上前の水準でEVという割には質素極まれりな印象。よく言えば割り切っており、軽トラと同じ感覚で乗ることができます。

内装:N-VAN(EV)の勝ち

スペック

積載能力

商用バンとして最も重要なのが積載能力です。

共通する項目を比較すると以下のようになります。

2名乗車時 荷室長
(mm)
荷室高
(mm)
荷室幅
(mm)
荷室床面
地上高(mm)
スライドドア
開口幅(mm)
最大積載量(kg)
N-VAN 1,510 1,365 1,390 525 1,580 350
ミニキャブ 1,830 1,230 1,370 675 735 350

N-VANで特筆すべきは助手席側の開口幅がピラーレス構造により1,580mmと巨大なことです。一方で乗用車ライクなボディ形状の弊害として荷室長さが今一つですが、荷室高さでカバーしています。しかしN-VAN(EV)はこれをベースにEV化したものです。つまり床下にバッテリーやモーターを搭載しなければならず、間違いなくこの数値は少なくなります。

ミニキャブは軽商用バンとしての平均的で十分な積載能力を確保しています。N-VANとの比較の時点で若干有利ですので、N-VAN(EV)より勝っていると考えられます。

積載能力:ミニキャブの勝ち

サイズ、駆動方式

N-VAN
ミニキャブ
FF 4WD FR
全長(mm) 3,395 3,395 3,395
全幅(mm) 1,475 1,475 1,475
全高(mm) 1,945 1,960 1,915
ホイールベース(mm) 2,520 2,520 2,390
最低地上高(mm) 155 155 165
最小回転半径(m) 4.6 4.7 4.3

全長、全幅は同じですが、全高はN-VANに軍配が上がります。N-VANはFF/4WDが選べますが、ミニキャブはFRのみとなっています。

それゆえFFベースのN-VANは最小回転半径で劣っています。N-VAN(EV)の駆動方式は現時点で不明ですが、N-VANをベースにして後輪駆動にすることはまず考えられないことから、おそらくFFになると思われます。荷物を積む商用バンであればミニキャブのような後輪駆動が動力性能的に有利となります。しかし4WDがラインナップされるとしたら話は変わってきます。

サイズ、駆動方式:ミニキャブの勝ち

航続距離

N-VAN(EV)の航続距離は200kmを目標としています。

ミニキャブを含め、代表的な軽EVの電費を見てみましょう。

モデル ミニキャブ 日産・サクラ
駆動方式  FR
FF
バッテリー容量 16kW(330V) 20kW(350V)
一充電走行距離 133km 180km
WLTC 137Wh/km 124Wh/km
市街地モード 114Wh/km 100Wh/km
郊外モード 130Wh/km 113Wh/km
高速道路モード 152Wh/km 142Wh/km

交流電力量消費率とは、電力を利用する電気自動車(EV)の燃費に関する数値で、電費とも呼ばれる。 交流電力量消費率は電気自動車が1km走るのに必要な電力の容量(wh)を表している。 単位の表記はWh/km。 この数値が少なければ少ないほど電気自動車の車両としての燃費性能が良いということが判断できる。

日産・サクラの一充電走行距離は180kmと設定されています。つまりN-VAN(EV)は少なくとも20kW以上のバッテリーを搭載すると考えられます。

同じ商用バンのミニキャブは133kmと大きな差があります。三菱自動車が実施した全国のドライバーアンケート調査によると、軽キャブバンが1日に走行する平均距離は77%の方が65km以下だといいます。近場をルーティン的に回るような使い方ならば、133kmでも十分という場合があるかもしれません。

航続距離:N-VAN(EV)の勝ち

先進安全装備

最近の自動車には当たり前の先進安全装備を比べてみましょう。

<N-VANの先進安全装備>

現時点で不明。

<ミニキャブの先進安全装備>【該当なし】

自動ブレーキや、誤発進抑制機構といった先進装備が搭載されておらず、サポカーへの該当はありません。

出典:JAMA 一般社団法人 日本自動車工業会

N-VAN(EV)の詳細は不明ですが、新型車として2024年に販売する場合、最低限必要な安全装備の搭載義務が発生します。その時点でミニキャブよりも充実していると予想できます。

先進安全装備:N-VAN(EV)の勝ち

価格

N-VAN(EV)

現時点で不明。ガソリン車と同等の100万円台からの設定を予定。

ミニキャブ

グレード 駆動方式 メーカー希望小売価格(消費税込)
CD16.0kWh(2シーター) 2WD \2,431,000
CD16.0kWh(4シーター) 2WD \2,453,000

100万円台とは100万円~199万円であり、あまり参考になりませんが200万円を切るとみていいでしょう。しかし補助金や免税を差し引いて200万円を切るのだとしたら、ミニキャブとあまり変わらない金額とも予想できます。

価格:引き分け(どっこいどっこいの可能性あり)

結論

まだ情報が少ないので結論を出すのは時期尚早ですが、一つ言えるのはミニキャブには10年以上販売してきた実績があるということです。販売においては企業との実証実験や自治体とのタイアップ、フリート向けの大口顧客獲得など様々なアクションが既になされています。加えてアウトランダーPHEVに代表される電動車のラインナップ拡充にあわせたディーラーの充電設備、充電システムの普及、さらにはバッテリー保障など、電動車販売のノウハウをふんだんに持っているのが三菱自動車なのです。

安くて航続距離の多いEVだとしても、それが中国車だと躊躇するのはその品質もさることながら、バックアップ体制の不透明さにあると思います。ホンダについても低価格なEVを販売できたとしても、その体制づくりがしっかりできていないと顧客は満足してはくれないでしょう。

とはいえ、軽商用EVの選択肢が増えるのは良いことです。しかし低価格を売りにした中国車が既に日本に入ってきているという、一昔前では考えられない事態を目の当たりにしたとき、日本車じゃなくてもよくない?という思想が一般化する日が来ないとは言い切れません。それがいつなのか分かりませんが、日本メーカーは早くしないと軽自動車というガラパゴス市場までも失うことになってしまいます。

N-VAN(EV)の販売は2024年の予定です。今回はミニキャブミーブの現行モデルを比較しましたが、そもそもこの頃には新型のミニキャブが登場しているかもしれません。いずれにせよ、過熱してきた軽EV市場に登場するN-VANを期待して待ちましょう。

<関連記事>

【ホンダ】N-VANって結局売れてるの?ライバルと比較

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