車を購入するのではなく、月額制で利用できるトヨタの新しいクルマの利用方法「KINTO」が話題になっています。
新車や中古車を購入するのではなく、このサービスを利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
目次
KINTOとは
トヨタのサブスクリプションサービス「KINTO（キント ）」は、より気軽に簡単に車が利用できるトヨタのサブスクリプションサービスです。
サブスクリプションサービスは定額で音楽や映像が楽しめる配信サービスなどが一般的ですが、これの車版というわけです。定額利用料金を支払うことで月単位や年単位などの期間、商品・サービスが利用できます。
つまりKINTOは車を購入するのではなく、月額制で利用できるトヨタの新しいクルマの利用方法です。定額の費用には登録諸費用や税金、定期メンテナンス、保険などが含まれているので、車を所有するにあたっての面倒なことは一切ありません。レンタカーやカーシェアに比べて自由度が高いことでも注目が集まっています。
サービス内容
KINTOには現在、以下2種類のサービスが提供されています。
○KINTO ONE
「月々コミコミ定額で、3年間新車に乗れる」
新車の登録書費用や税金、定期メンテナンス、保険代などコミコミ定額で利用できるサービスです。
費用に含まれていないのは燃料代、駐車場代、高速道路通行料、洗車代、事故修理費用、故意・過失によるトラブル対処費用、タイヤの購入及び装着費用、転居時の陸送費用、契約車両をご使用できないことで発生する費用（宿泊費用・休業保障等）、エンジン添加剤等が挙げられています。
簡単に言うと「新車をトヨタから3年間月々定額で借りる」という感じでしょうか。
○KINTO SELECT
「さまざまなレクサスを、1つのプランで」
レクサス6車種の中から6ヶ月ごとにお好きな車を選ぶことができ、3年間乗ることができます。つまり6台のレクサスを3年かけて乗り継いでいく仕組みになっています。
特典としてレクサスオーナー専用サービスである「レクサスオーナーズデスク」が利用できます。
KINTO ONEラインナップ
一般的により利用しやすいKINTO ONEの価格を比較してみましょう。ちなみに全ての車種において複数のグレードが選択できますが、グレードが上がるほど価格も上がります。今回は一番利用額の低いものを比較しています。
あわせて各車両の本体価格を月額料金での期間で換算してみました。
| 車種名 | グレード | 月額（税込） | 本体価格（税込） | 期間換算 |
| アクア | S HV 1.5L 2WD(5人) | 43,450円 | 1,921,700円 | 44.2ヶ月分 |
| カローラスポーツ | G“X” GAS 1.2L 2WD(5人) | 53,350円 | 2,488,200円 | 46.6ヵ月分 |
| プリウス | S HV 1.8L 2WD(5人) | 50,710円 | 2,565,200円 | 50.6ヵ月分 |
| クラウン | 2.5HV S”Elegance Style” 2WD(5人) | 95,700円 | 5,071,000円 | 53.0ヵ月分 |
| RAIZE | Ｘ“Ｓ” GAS 1.0L 2WD(5人) | 39,820円 | 1,745,000円 | 43.8ヶ月分 |
| C-HR | S HV 1.8L 2WD(5人) | 52,800円 | 2,730,000円 | 51.7ヵ月分 |
| ハリアー | ELEGANCE GAS 2.0L 2WD(5人) | 61,600円 | 3,004,100円 | 48.8ヶ月分 |
| RAV4 | Adventure GAS 2.0L 4WD(5人) | 63,800円 | 3,195,500円 | 50.1ヵ月分 |
| ランドクルーザープラド | TX GAS 2.7L 4WD(5人) | 65,780円 | 3,603,600円 | 54.8ヶ月分 |
| シエンタ | G Cuero GAS 1.5L 2WD(7人) | 51,700円 | 2,213,200円 | 42.8ヶ月分 |
| ノア | Si “W×B Ⅱ” GAS 2.0L 2WD(7人) | 63,250円 | 2,909,500円 | 46.0ヵ月分 |
| ヴォクシー | ZS“煌Ⅱ” GAS 2.0L 2WD(8人) | 62,700円 | 2,909,500円 | 46.4ヶ月分 |
| エスクァイア | Gi GAS 2.0L 2WD（7人） | 64,350円 | 2,963,400円 | 46.1ヵ月分 |
※2020年1月15日より、パッソ、ルーミー、タンク、カローラ、カローラツーリング、カムリ、ランドクルーザーがラインナップに追加される予定です。
3年は36カ月ですので、3年で乗り換えるのが前提ならばお得になります。
一番お得なのがこの中ではランドクルーザープラドですが、下取りに出せないなど考慮すると実際はトントンぐらいではないでしょうか。
禁止事項
新車や中古車と違い、完全に自分のものになるわけではありません。そこに付きまとうのが禁止事項です。以下、利用規約第13条(禁止行為)に定める行為は禁止となっています。
第13条（禁止行為）
甲は次に掲げる乙の権利を侵害する一切の行為をしてはなりません。
① 自動車の譲渡、転貸、またはリース契約に基づく権利の譲渡。
② 自動車を担保の目的とすること。
③ 乙の承諾を得ないで自動車の原状または自動車検査証の記載事項を変更し、もしくは自動車の使用の本拠の位置・使用の本拠地・用途等を変更すること。
④ 自動車内の喫煙、ペット乗車。
⑤ 自動車の改造、メーター交換または改竄。
⑥ 自動車の各種テストもしくは競技（当社が競技に該当すると判断するものを含む）に使用。
⑦ 法令または公序良俗に違反する使用。
喫煙、ペット、改造がダメということで、基本的にレンタカーと同じような感覚になります。
注意点
月間走行距離制限は1,500km、3年間で54,000kmまでの走行での契約となっており、制限を超えた場合は、超過分の精算が必要となります。トヨタ車では1kmあたり10円、レクサス車は1kmあたり20円を追加で支払う必要があります。(月ごとの走行距離での超過分合計ではありません)
また、車は原状回復での返却となるため、車の状態により修理・クリーニングが必要な場合や、事故修理などにより車両価値の低下となる場合なはど、その分の費用が請求される場合があります。しかしKINTOが保険契約者になるため、保険等級に影響はありません。
所管
サブスクリプションというサービスを考えた時に、CDや本を物理的に所有していないのとは違い、一定期間実物を所有できるという点でやはりレンタルのイメージが強くあると感じます。レンタルビデオのようにお金を払って一定期間借りると考えた時に月数万円はやはり高額です。長年借り続けるなら購入した方が断然お得でしょう。
新車のローンとして考えれば月3万程は支払う気にもなりますが、これを払っても自分のものになるわけではなく、事故はおろか距離にまで気を使わないといけないとなると、趣味や家族での所有は考えられません。
今すぐ新車が一定期間どうしても必要でない限り、適当な中古車を維持する方が割安ですから、いまいちどういう理由でこのサービスを利用するのか見当がつきません。
利用者の声をみても、「手続きが簡単」とか「3年で新車に乗り換えられる」とか「わナンバーじゃない」とかいまいち”必要とされている感”は感じません。
あくまで新しい車の所有の仕方を提案しているもので、理由はどうであれこの方法が自分に合っていればそれでよいかと思います。
