「Teknikens Värld」というスウェーデンの自動車雑誌が行っているテストにおいて、RAV4-PHVが稀に見る残念な結果になったというニュースです。
ムーステストという、突然現れる障害物を回避した際の車の挙動を見るテストにてそれは起きました。
ドラマチックな失格
(和約)
長年にわたるハンドリングの進化にも関わらず、ムーステストを攻略できない車はまだまだ多いのも事実です。例えばトヨタ・RAV4の場合、ハイブリッドモデルでは失敗に終わっています。そしてこの度”プライム”と名乗るプラグインハイブリッドモデルは、それ以上に悪い評価となってしまいました。
緊急回避を想定した操縦を70km/hで行うと、RAV4-PHVは酷いオーバーステアとなり、スタビリティコントロールが全く機能していないと報告されています。同時に車は大きく傾き、フロントホイールの縁が路面に接触しそうになりました。
このテストを攻略できるまで段階的に速度を落としていくと、63km/hでクリアとなりましたが、ドライバーを変え再び70km/hで実施したところ、同じくオーバーステアとなりました。
▶Toyota RAV4 Plug-in Hybrid performs really poorly in the moose test – Teknikens Värld
同じプラグインハイブリッド車であるボルボ・XV40 T4、三菱・アウトランダーPHEVでも同様のテストが行われました。両者ともクリアとはなりませんでしたが、それでもRAV4に比べれば大幅に良好な結果でした。Teknikens Världは、テストの失敗後にトヨタに送信した質問について言及しました。トヨタヨーロッパからの回答の重要な部分は次のとおりです。
「Teknikens Världの評価について、我々は極端な障害物回避操作によりムーステストを再現させたところ、似たような結果となりました。
対策として、RAV4プラグインハイブリッドがムーステストに合格できるようにするための措置を講じます。それまでの間、我々のお客様についてはRAV4プラグインハイブリッドが安全なままであるということで安心させたいと思います。
ただし、継続的な改善の精神で、このアップグレードを[2020年8月から製造されたヨーロッパの非PHVモデルに既に搭載されている電子安定システムへ]、2021年の第1四半期内にご希望のすべてのお客様にご利用いただけるようにします。そしてすぐに量産モデルへのアップグレードを導入します。」
Teknikens Världによるムーステストによってトヨタが改善を講じたのは、これが初めてではありません。数年前にはハイラックスピックアップでも同様の不具合を報告し、その際には電子安定性制御を微調整し、最大負荷の推奨タイヤ圧力を変更することで対策を行っています。
何もムーステストで苦しむのは車高の高いSUVやピックアップだけというわけではありません。コンパクトカーであるルノー・ゾエEVも不合格となっています。唯一トヨタGRスープラだけが、スペインの自動車雑誌「km77.com」によるテストで合格しています。
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PHEVは車輪をモーターによって駆動させています。こういった俊敏な動作は出力や制御次第で解決できそうですが、当然燃費や乗り心地にも影響するので、その制御思想はメーカーによって異なっています。
日本国内でも2030年までにガソリン車の販売が禁止されると報道されていますが、ますますEVやPHEVが普及していくことになると思います。車としての仕組みが大きく変わる中で、メーカーそれぞれの強み弱みが大きく変わってくるかもしれませんね。
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