日本における主要産業の一つである自動車。
メーカー各社それぞれに長い歴史があり、切磋琢磨しながら時代の流れに合わせて自動車を進化させてきました。ですが最初はどのメーカーも手探りの状態で、やっとの思いで世に送り出した「初めての車」があります。その1台をご紹介します。
ちなみに今回は一般家庭にターゲットを置いたいわゆる大衆向け4輪乗用車を対象とし、2輪、3輪自動車、ノックダウン、商用車、試作車や大衆向けではない車両は除いています。あしからず。
目次
トヨタ
■トヨタ・パブリカ
トヨタがかつて生産、販売していた乗用車。
1950年代の国民車構想の影響を受けて開発したトヨタ初の大衆車で、長年にわたって同社の生産、販売する最小車種として位置付けられました。
その名の通り「大衆車」を意味する英語「パブリック・カー(Public car)」が由来となっています。1961年6月発売当時、セダンの価格は38.9万円。
1961年 – 1969年
ダイハツ
■ダイハツ・コンパーノ ワゴン
ダイハツ工業がかつて生産、販売していた乗用車。
オート三輪メーカーとして業界トップの座を東洋工業(現・マツダ)と争っていたダイハツ工業が、今後の成長分野として期待された乗用車市場に進出した第一作。同年に発売されたバンモデルのデラックス版として乗用ワゴンが設定されました。デザインはイタリアのカロッツェリア・ヴィニャーレによるもので、日本で初めて機械式燃料噴射システムを搭載した市販車でもあります。
1963年 – 1970年
日産
■日産・プリンス・スカイライン(S5型:2代目)
1966年8月1日スカイライン、グロリアを持つ「プリンス自動車工業株式会社」と合併。プリンス自動車が日産自動車と合併したため、当時販売されていたプリンス・スカイラインの車名をニッサン・プリンス・スカイラインに変更しました。
日産との合併後初めて新規発売されたモデルとしては、モデルチェンジ後のスカイラインとなります。(C10型:3代目)
1963年 – 1968年
ホンダ
■ホンダ・S500
本田技研工業がかつて生産、販売していた小型スポーツカー
当時の量産車では世界的に見ても稀なDOHCエンジンを採用するなど、2輪メーカーとしての技術がふんだんに盛り込まれて1963年10月に発売。
ちなみにホンダ初の4輪自動車としては、同年8月に発売された軽トラック「T360」が有名です。
1963年 – 1964年
マツダ
■マツダ・R360クーペ
東洋工業(現・マツダ)がかつて生産、販売していた軽自動車。
この車でマツダは4輪乗用車市場に参入しました。戦後の日本車として、初めて「クーペ」を名乗った車でもあります。
1960年 – 1969年
スバル
■スバル・360
富士重工業(現・SUBARU)がかつて生産、販売していた軽自動車。
量産型の軽自動車としては史上初めて大人4人の乗車を可能とすると同時に、当時の水準を超える走行性能を実現していました。
この車につけられたスバルのエンブレム(六連星マーク)は、富士重工の社内募集案をベースに何度かのデザイン変更が行われたもので、現在でも基本モチーフが継承されSUBARUのマークとして踏襲されています。
1958年 – 1970年
三菱自動車
■三菱・500
三菱重工業がかつて生産、販売していた乗用車。
1950年代の国民車構想の影響を受けて開発された戦後初の自社製作乗用車であり、三菱オリジナルの初めての乗用車として発売。ボディタイプは2ドアセダン。日本で初めて風洞実験を実施した車といわれています。
1960年 – 1962年
スズキ
■スズキ・スズライト
鈴木自動車工業(現・スズキ)がかつて生産、販売していた軽自動車。
同社が初めて生産した市販型4輪自動車です。
「スズ」は「鈴木」の社名から、「ライト」は「軽自動車」の「軽」の英訳が由来になっています。
1955年 – 1959年
備考
【発売順】
①スズキ:1955年
②スバル:1958年
③マツダ:1960年
③三菱:1960年
⑤トヨタ:1961年
⑥日産:1963年
⑥ホンダ:1963年
⑥ダイハツ:1963年
※平均:1960年(日本発の乗用車ができたのは大体1960年と言えます。)
【個人的名車度】
①スバル・360
②マツダ・R360クーペ
③トヨタ・パブリカ
④ホンダ・S500
⑤日産・スカイライン
⑥スズキ・スズライト
⑦三菱・500
⑧ダイハツ・コンパーノワゴン
※ほぼ知名度に比例するかと思いますが、スカイラインはプリンスによるものが大きいため低めにしました。スズライトは発売こそ早かったものの販売的に成功とは言えないためこの位置です。
【個人的乗りたい度】
①マツダ・R360クーペ
②ホンダ・S500
③トヨタ・パブリカ
④スバル・360
⑤三菱・500
⑥ダイハツ・コンパーノワゴン
⑦日産・スカイライン
⑧スズキ・スズライト
※見た目もスタイリッシュなR360クーペ、そして唯一のスポーツカーであるS500が気になるところです。500は最も謎なので単に見てみたいですね。
ここで挙げた車は今や博物館クラスですが、今でも旧車界隈では維持されている方がいるかと思います。もし見かける機会があれば、今一度その時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。