車のプロポーションは、全体の印象を決める大事な要素です。
似たようなボディ形状であっても様々な車があるように、個性を持たせるためのデザインが行われています。しかし中には一体なぜそのようなデザインになったのか理解できない車があります。
目次
日産・ウィングロード(3代目)
2005年から2018年まで販売されていたステーションワゴン。
側面から見た際にルーフからCピラーにかけてのラインと荷室部分の屋根のラインを一致させず折れ曲がっているように見せるという、自動車デザイン上のセオリーを無視したような独特のスタイルが採用されている。
これは「ウェーブド・ドリップライン」と呼ばれる、キャビンと荷室とを視覚的に分けた意図的なものである。新しいワゴンのイメージを作るため当時20代のデザイナーの意見を取り入れたらしいが、仕方なくこうなったようにしか見えないのが残念。
目の錯覚を引き起こすスタイル
ダイハツ・ハイゼットカーゴ(9代目)
1999年から2004年まで販売されていた軽バン。
従来の軽バンが角ばったスタイリングであるところ、必要以上に寝かせたフロントウィンドウや上部が絞られたような荷台など、貨物車としては余計なデザインが特徴的な9代目ハイゼットカーゴ。
実はこの車体デザインはジウジアーロ率いるイタルデザイン・ジウジアーロが手懸けたもの。いや誰に頼んでんねん。
おしゃれといえばおしゃれ?
マツダ・3(初代)
2019年5月から販売されているファストバック。
エクステリアデザインはボディ側面に入れられることの多いキャラクターラインを極力排除し、面の変化で質感を表現。そのためCピラー下に入れられるショルダーラインも排除されており、他に類を見ない独特なスタイリングとなっています。
これはCX-5から始まった“魂動”デザインを深化させた、マツダの次世代商品群の第1弾として位置づけられたもので、マツダ自身が用いた「引き算の美学」というキーワードの下デザインされたもの。後席空間を犠牲にしており、この車にあたっては賛否両論である。
カッコいいかどうかはあなた次第
ホンダ・ステップワゴン(5代目)
2015年4月から2021年10月まで販売されていたミニバン。
5代目では新機能としてテールゲートに横開き式のサブドアを組み合わせた「わくわくゲート」を採用。その機能をデザインに落とし込んだ結果、アシンメトリー(左右非対称)なボディラインが形成されています。
発想こそ面白かったわくわくゲートですが市場の評価はイマイチで、2022年5月に発売された6代目ではその機能は廃止され、デザインも通常のシンメトリーなものに戻りました。
ガラスの形状も異質
ホンダ・シャトル(2代目)
2015年5月から販売されているステーションワゴン。
リアにかけて上がっていくラインが、Cピラー以降で突然下がっている不思議なデザインが特徴的です。
これはドアパネルとフロントフェンダーは3代目フィットのものが流用されたことによるもの。デザイナー曰く「フィットのキャラクターラインを生かして、より大きく大胆にデザインすることで、全く別の車にできるという確信があった」とのことだが、つぎはぎ感が凄いと感じるのは私だけだろうか。
コストカットの賜物である
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いかがでしたでしょうか。
これらの車は、様々な理由でこれまでにないようなデザインが採用されていますが、革新的な何かでない限り、一つ間違えると見ていて不自然に感じてしまいます。
上記の場合ステップワゴンはわくわくゲートという機構にリンクしたデザインなので、それに文句を言う理由も少ないのですが、それ以外の車は単なるデザインであり好みの問題になります。本当にそのデザインでお客が喜ぶと思ったのかと、問うてみたくなりますね。