猫も杓子もSUVの昨今。
家族みんなで色々な場所へ行きたいものですが、大きな車体を運転するのは気を使います。とりわけ道幅の狭い日本においては、
人も荷物も十分に載せられることができるSUVは自動車の最適解のような位置づけとして多くの人に選ばれています。しかし普段使いをするならばその取り回しのよさ、つまりいかに小回りが利くかが重要になってきます。その指標となるのが「最小回転半径」です。
2025年現在販売されているSUVで最小回転半径を比較してみました。
目次
最小回転半径とは
ハンドルを最大限に切った状態で旋回した際、1番外側のタイヤの中心が描く円の半径のことをいいます。
最小回転半径の値が小さいほど小さな半径で曲がれるということになります。つまり「小回り」のよさの目安になる数値です。
最小回転半径は、クルマのホイールベース(前後のタイヤの中心間距離)、トレッド(左右のタイヤの中心間距離)、タイヤ外径などで決まり、全て大きければ大きいほど最小回転半径も大きくなります。
また、前輪が駆動輪になるFFや4WD車は切れ角が狭くなりやすいので、駆動方式も関係してきます。
エントリー車種
2025年現在販売されている現行のSUVを対象とします。
※メーカーHPでSUVカテゴリーとされているもの。商用、軽自動車は除く。カタログ上での仕様に限る。
メーカー | モデル |
トヨタ | カローラクロス、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツ、ハイラックス、bZ4X、ハリアー、ヤリスクロス、ライズ、RAV4、ランドクルーザー70、ランドクルーザー250、ランドクルーザー300 |
日産 | アリア、エクストレイル、キックス |
三菱 | アウトランダーPHEV、エクリプスクロス、トライトン |
ホンダ | ヴェゼル、CR-V、WR-V、ZR-V |
マツダ | CX-3、CX-30、MX-30、CX-5、CX-60、CX-80 |
スバル | レイバック、ソルテラ、レガシィアウトバック、フォレスター、クロストレック、レックス |
スズキ | クロスビー、ジムニーシエラ、ジムニーノマド |
ダイハツ | ロッキー |
メーカーが公表している「最小回転半径」をベースに比較として駆動方式、パワートレイン、グレード、タイヤサイズごとに一覧にしています。
グレードについては全て記載している場合と省略している場合がありますが、省略の場合は「その他」とお考え下さい。
トヨタ
トヨタにおいてはライズの16インチタイヤ採用モデルが最も最小回転半径の小さいSUVとなります。パワートレイン、駆動方式による違いはなく、最も取り回しのしやすいSUVであるといえます。
逆に最も最小回転半径が大きいのはハイラックスです。本格的なラダーフレームをもつためか6.4mという大半径となります。これはハイエースワゴンのスーパーロング(4WD)の6.3mよりも大きな数値です。
日産
日産においてはキックスが最も最小回転半径の小さいSUVとなります。
キックスのデビューは2016年で当初はe-powerの前輪駆動モデルのみでしたが、2022年のマイナーチェンジで四輪駆動モデルが追加されました。いずれも最小回転半径は5.1mと変わりありません。
ホンダ
ホンダにおいてはWR-Vが最も最小回転半径の小さいSUVとなります。グレードによってタイヤサイズに違いがありますが、最小回転半径はともに5.2mです。2024年6月にインドで発表されたエレベイトの日本仕様車となり全数がインドから輸入されています。
三菱
三菱においてはエクリプスクロスが最も最小回転半径の小さいSUVとなります。パワートレインやグレードによってタイヤサイズに違いがありますが、最小回転半径はともに5.4mです。
逆に最も最小回転半径が大きいのはトライトンで、本格ピックアップトラックということもあり6.2mという大半径となります。
スズキ
スズキにおいてはクロスビーが最も最小回転半径の小さいSUVとなります。
逆に最も最小回転半径が大きいのはジムニーノマドです。ジムニーの5ドアモデルとして2025年1月30日にデビューしましたが、全長及びホイールベースを3ドアのジムニーシエラから340mm拡大したこともあり、5.7mという大半径となります。
ダイハツ
ダイハツの登録車はロッキーのみとなります。なかでも16インチタイヤ採用モデルが4.9mで最も最小回転半径の小さいSUVとなります。
トヨタにOEMとして供給するライズも同じ数値となります。
スバル
スバルにおいてはレックスの16インチタイヤ採用モデルが最も最小回転半径の小さいSUVとなります。ダイハツ・ロッキーのOEMであるためロッキーと同じ数値となります。
逆に最も最小回転半径が大きいのはEVのソルテラとなります。
マツダ
マツダにおいてはCX-3,CX-30,MX-30が最も最小回転半径の小さいSUVとなります。パワートレインや駆動方式は様々ですが、最小回転半径はともに5.3mです。
逆に最も最小回転半径が大きいのはCX-80です。CX-60よりもホイールベースが250mm延長されており、そのサイズが影響しています。
まとめ
ランキング形式にまとめると以下のようになりました。
国内のSUVで最も最小回転半径が小さいのは、スズキ・クロスビーの4.7mという結果になりました。
次点では同じくスズキのフロンクスが位置しており、スズキ車の取り回しの良さがうかがえます。続いてトヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキー、スバル・レックスの3兄弟も、4.9m~5.0mと比較的小回りが利きます。
アウトドアで人気のランドクルーザーシリーズですが、本格ラダーフレームであるためか最小回転半径は5.9m~6.3mと取り回しにはやや難ありといえます。同様にラダーフレームを持つピックアップトラックもその傾向にあり、三菱・トライトンは6.2m、そしてトヨタ・ハイラックスは6.4mというSUV市場最大の数値を誇ります。いずれも本格的なオフロード性能を持っており存在感や所有感は文句ないモデルですが、狭いキャンプ場などでは少し苦労しそうです。
クロスビーとハイラックスでは1.7mの差があります。転回した先で成人男性1人分ほど位置が変わると思うと大きなものです。
EVのみに絞った場合はこちら
EVとしてはマツダ・MX-30が5.3mでトップとなります。
同じプラットフォームを使用するトヨタ・bZ4X、スバル・ソルテラはともに5.6mで最下位です。
続いてPHEVです。
PHEVとしてはトヨタ・クラウンスポーツ、マツダ・CX-60、三菱・エクリプスクロスがともに5.4mでトップとなります。
続いてディーゼルです。
マツダ・CX-30、CX-30が5.3mでトップとなります。マツダはクリーンディーゼルエンジンを数多くラインナップしているため多くランクインしており、最も取り回しのしやすいディーゼルモデルだと言えます。
一方でディーゼルエンジンは本格的な4WD車に多く採用されており、先述したランドクルーザーシリーズがラインナップするほか、ピックアップトラックのハイラックスが6.4mでワーストとなります。
SUVであれば車高の高さが重要と思うかもしれませんが、駐車場やお住まいの地域、どういった使い方をするのかに応じて最小回転半径も重要なポイントになります。是非参考にしてください。
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