時代はまさに空前のSUVブームです。
適度な広さと使い勝手の良さで老若男女から人気を博し、とりあえずSUVさえ買っておけば、誰からも文句は言われないでしょう。
SUVとはそもそもスポーツ・ユーティリティ・ビークルの略で、人間の娯楽的な活動に使用する自動車という意味になります。スキーやサーフィン、キャンプなどにもってこいのアクティブ系自動車というわけです。
目次
SUVの構造
SUVには大きく分けて2つの構造タイプが存在します。
・ラダーフレーム(シャシ、ボディが独立している)
H形フレームともいわれ、その名の通りはしご状のフレームのことをいいます。製作と強度確保が容易で歴史も長く、ラダーフレームの上にボディを乗せた構造の為、車体が歪みにくく、ボディがダメージを受けたとしてもフレームに影響はありません。そのためラリーやクロスカントリーなどの本格オフロードSUVがこの構造を採用しています。
出展:carsensor.net
・モノコック(シャシ、ボディが一体化している)
捻れや撓みに強く、補助構造材を必要としないため軽量化が図れる一方、局部的に過大な応力を受けると破断しやすく、その部分だけでなくモノコック全体が変形してしまいます。自動車の場合、ミリ単位で車体全体を修正する必要があり、歪んだままだと走行性能に悪影響が出る恐れがある構造です。俗に都市型SUVといわれるSUVに多い構造です。
出展:suzuki.jp
クロスオーバーSUV
多くのSUVはフレーム構造をしていますが、そのうちフレーム構造ではなくモノコック構造を持つものをCUV(CUV: Crossover Utility Vehicle)といいます。基本的には、乗用車をベースにしている(セダンやハッチバックとプラットフォームを共用している)SUVのことをいいます。
当然フレーム構造を持つ本格的なSUVと比べて、オフロードでの走行性能や耐久性では劣りますが、舗装道路での乗り心地に優れる、比較的軽量である、燃費に優れる、などの利点を持つ傾向があり、今日ではほとんどのSUVがモノコック構造のCUVであり、主流となってきています。
ですので最初に言った「空前のSUVブーム」とは、正確には「空前のCUVブーム」というべきかもしれません。現在では多様なクロスオーバーSUVが各社から販売されています。
CUVも前輪駆動であったりハイブリッドであったりと、本格オフロードの要素は少なめの場合が多く、先ほども出てきた「都市型SUV」と言われるものがほとんどです。
「SUV、CUVは手に負えない・・・」
ということで誕生したのがなんちゃってSUVです。
1990年代半ばのRVブームで各社はRV車を相次いで発売しましたが、当時もコンパクトカーをRV風に仕上げただけのモデルが発売されていました。トヨタは当時のエントリーモデル、スターレットに背面タイヤなどを装着したRV車仕立てのリミックスを発売しましたが、市場の反応は冷ややかだった過去があります。
出展:goo-net.com
こういったSUVの要素がないにもかかわらず、見た目だけをSUV風にしたなんちゃってSUVですが、最近発売された車の中にも、こういった「クロスオーバー」だとか「クロススタイル」等とネーミングされたなんちゃってSUVが販売されています。一体なぜこんな車が存在するのでしょうか。
SUVが持つべき性能もなければ、広さもない。でも販売されると言うことはある一定のニーズがあると考えられたわけです。ではそれは一体どういったニーズなのでしょうか。自分なりに考えてみました。
・普通は嫌、でもSUVは手に負えない
普通の見た目では物足りないけれど、SUVは大きいしそこまでじゃないという方です。
そういった方は思い切ってSUVに乗っててみるのもいいでしょう。SUVと一言に言ってもいろいろなサイズがありますから、丁度いいものが見つかるはずです。わざわざなんちゃってSUVを選ぶなら、そうしたほうが無難でしょう。
おすすめ:トヨタCH-R
トヨタのCH-Rはトヨタらしからぬ飛びぬけたデザインで評判のコンパクトSUVです。これならサイズも小さく、他のSUVとも違った存在感を得ることができます。
出展:toyota.jp
・コンパクトで十分だが、アクティブな方である
コンパクトカーでアクティブに活動したいので、SUV風なテイストが欲しいという方です。
そういった方は素直にSUVを買った方がいいでしょう。アクティブの種類にもよりますがスキーやキャンプといったアウトドアの場合、絶対にSUVの方が使い勝手がいいはずです。もちろん4輪駆動を選びましょう。大きいのが苦手であればコンパクトSUV、とりわけ荷物の積めるバックスペースの広いものがよいかと思います。
おすすめ:スバルフォレスター
フルタイムAWDのフォレスターなら、どのような地形にもマルチに対応可能です。さらにMTも選択できるため、モノコックボディながら本格的なオフロードを楽しめるはずです。
出展:subaru.jp
・とりあえず、人と違っていたい。
人があまり乗らないような車、あまり見かけない車が乗りたいと言う方です。
そういった方は、このようなチープに見繕った車よりも、もっとしっかりと作りこまれた、乗っていて愛着のわくような車が合っているかと思います。SUVにこだわらないのであれば、好みのジャンルでお気に入りの一台を見つけましょう。その中で比較的見かけることの少ない車種をお勧めします。
おすすめ:三菱ミラージュ
三菱かよ!と思うかもしれませんが、マイナーチェンジで意外とよくなったのがこのミラージュです。街であまり見かけませんが、スタイリングも悪くなく、アクアやフィットよりも好みの方もいるはずです。是非検討してみてください。
出展:response.jp
・SUVが欲しかったが、諸事情により購入できない
SUVを買いたいが、価格やサイズの点でしかたなくコンパクトにした方です。
そういった方は逆になんちゃってSUVはお勧めしません。悲しくなるだけです。しかし軽自動車のジムニーや、ジムニーワイドなど、超小型ながら本格的なラダーフレームを採用したSUVもあります。あえてそちらを選ぶのも手かもしれません。
SUVだけが4輪駆動というわけではありません。セダンやコンパクトにもAWDのモデルは存在しますので、そこから見つけるのもいいでしょう。
おすすめ:スバルXV
AWDであり、ボディの剛性も高いXVであれば、SUVに引けを取らないアクティブな使い方ができます。スバル独自の安全装置「アイサイト」と合わせて魅力的な一台です。
出展:subaru.jp
まとめ
いずれにせよ、車を選ぶときは自分のライフスタイルを見直し、それに合致したものを選ぶと後悔はしないでしょう。今回取り上げたなんちゃってSUVも、いってみればただのデザインの違いでしかありません。そのデザインが好きならばそれでいいのです。
ただ車は高い買い物ですから、見た目だけでなく性能にもちゃんと重きを置いて検討するのがよいかと思います。