ここのところスズキに関する記事が多いですが、車好きとして気になるニュースがあるので一つご紹介。新型ジムニーも気になるところですが、今回はワゴンRについてです。
スズキは、軽乗用車の新型「ワゴンR」の「FA」グレードに5MT車を設定して、8月23日より発売を開始しました。
このたび発売するワゴンRの5MT車は、MT車を必要とされるお客様に向けて追加したもので、お求めやすい価格設定としたほか、全10色の豊富な車体色を設定し、幅広い年代の多様なお客様のニーズにきめ細かく応えていく。
また、2WD車、4WD車ともに自動車取得税20%減税対象車、自動車重量税25%減税対象車とした。スズキのニュース一覧より出展:suzuki.co.jp
「MTを必要とされるお客様に向けて追加」したのです。なんと素晴らしニュースでしょう。MTが淘汰されていく時代ですが、しっかりとユーザーの事を考えているのがうれしいですね。
目次
「ワゴンR FA 5MT車」の主な専用装備
CVTのワゴンRはインパネにシフトが設置されていますが、MTはフロアシフトのため、いくつかの変更点があります。
インパネ
フロアシフトとパーキングブレーキ
出展:autoblog.com
- フロアシフトと手動式パーキングブレーキ
フロアMTと、手動式のパーキングブレーキがセンターコンソールに設置されます。 - セパレートタイプのフロントシート
シートはベンチシートからセパレートタイプに変更されています。 - 収納に便利なインパネセンターポケット
もともとCVTのシフトがあった場所はポケットに変更されています。
スズキはハスラー、アルトワークス、ジムニーやスイフトなど、積極的にMTを設定していますが、重要なのは決して「スポーツタイプだからMTにした」というわけではないということです。
このワゴンRについても、エンジンや足回りに何か改良がくわえられたわけではありません。あくまで普段使いのMTとしてのニーズを捉えているのです。
MTが採用できるのは機構的にシンプルな低グレードが対象となることが多いですが、それでもMTを用意してくれれば後は何もいらないというユーザーも多いことでしょう。新型ジムニーといい、スズキは車好きをよくわかっていると感じます。
考えてみるとこのトールタイプの軽自動車は他にも三菱のekワゴンやホンダのN-WGNなどありますが、そのなかでワゴンRは唯一のMT設定車となりました。ひょとすると今後MTを設定することで差別化をする車が出てくることも予想されます。
あったらいいなMTバージョン
スズキのように積極的にMTを採用するメーカーはそう多くありません。というよりありません。しかし「MTがあったらいいのになぁ」と思う車種はいくつかあります。
①三菱ミラージュ
現行ミラージュはマイナーチェンジが加えられ質感がアップしています。しかしその存在感は皆無に等しく、街で見かけることはまずありません。しかしMTを設定することで車好きを引きこめるだけの素質があるのは事実です。ひと昔前のミラージュを思い出してほしいですね。
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②トヨタプロボックス
現行プロボックスはマイナーチェンジされた2014年の発売で、5MTの設定は廃止されてしまいました。長距離を走り回る営業車ですから、MTの設定は確かに必要ないのかもしれません。しかし車としてプロボックスはちょうどいいサイズですので、再度MTを設定しビジネスカーではなくパーソナルカーとしてテコ入れすればきっといい車になるはずです。現に自家用車として使用している方もいます。見かけたことあるのではないでしょうか?
出展:wikipedia.org
③ホンダグレイス
トヨタのカローラに対抗すべく打ち出したホンダの小型セダンですが、MTの設定は教習車向けのみとなっています。カローラはMTの設定がありますから、その時点で負けているわけです。スタイリングはカローラよりもスタイリッシュですから、MTを設定することで、若者からの人気が得られるかもしれません。
出展:response.jp
まとめ
MTは時代とともに必要とされなくなってきています。今ではスポーツモデルに多少採用されるだけで、こういった普通車にMTの設定を残している車種も限られています。これからどんどんと車は電化の方向へ進んでいくものと思われます。
そうなるとMTは機構的に設定が不可能になってくるはずです。モーターやコンピューターで処理する方が効率的で燃費にも大きく貢献できるのは確かですが、「自ら操る喜び」は失われてしまいます。
メーカーはこの「自ら操る喜び」を「スポーツ」なのだと勘違いしがちです。そしてそのスポーツモデルも、パドルシフトにすることで「自ら操る喜び」を満たしていると思い込んでいます。
そんな中、何の変哲もない車種にMTを設定するスズキのやり方は、非常に好感が持てます。それもユーザーのニーズに少しでも応えていくという方針の表れなのだと思います。