ホンダが製作したとある「ぬいぐるみ」。
移動を考える自動車メーカーとしてホンダが考えた一つのアイデアが、ついに市販化となります。
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外出中に子供が泣いてしまう
小さいお子さんをお持ちの親ならば、誰しも直面するであろう子供の「泣き」。
公共の場などでは、とりわけ周囲の目が気になってしまうことでしょう。
ホンダの調べによると、およそ70%以上の親が「子供が泣いてしまうのではという思いから外出が億劫」と答えています。
そこで子供をあやす手段として、ホンダは実に自動車メーカーらしいアプローチで解決しようとしたのです。
エンジン音が心地よい?
自動車のエンジン音が、胎児が母親のお腹の中で聞く音と似ているというのです。
このプロジェクトを監修したサウンドヒーリング協会理事長の喜田圭一郎氏によると、水分が70%近くある人体は音の影響を受けやすく、体は細胞レベルで影響を受けているとのこと。
新生児への音の影響に関する研究が様々に行われている中で、
ことも明らかになってきているといいます。子宮の中で聞こえる音は、お母さんの血流音や心音などの低い周波数を多く含んでますが、Hondaのクルマのエンジン音も250Hz以下の
を含んでいました。そこでホンダの歴代車種の中から、最も心地の良いエンジンを探す実験が行われました。
古くはSPORTS 360(1962年)からNSX (2018年) といった計37車種のエンジン音を収録し、胎内で聴こえる音に最も近い周波数特性を持つ車種を選定。
その結果、2代目NSX (2018年) が最も胎内で聴こえる周波数に近いことが明らかとなりました。実際に赤ちゃんに聞かせてみたところ、12人中11人で鎮静の効果がありました。
車のぬいぐるみ
実験結果をもとに一つのぬいぐるみを製作。
内部に小さなスピーカーを内蔵し、遠隔でボタンを操作すると、NSXのエンジン音がループ再生される仕組みです。NSXの生のエンジンサウンドが聞こえるというと、逆に驚くのではと思いますが、赤ちゃんにとってはそれが心地良いのです。
市販化へ
このぬいぐるみが製作されたのが2018年。
それからおよそ5年の歳月を経て、2023年10月に市販化が決定されました。
「おもちゃ」として提供するにあたり、タカラトミーアーツがプロジェクトに参加。サウンドヒーリング協会指導の元、試作品にも採用されたNSX (2代目)のエンジン音を再現できるサウンドユニットを内蔵し、赤ちゃんにも安心なぬいぐるみを開発しました。
ぬいぐるみはホンダの往年の名車「S600クーぺ」をモチーフにしたオリジナルデザイン。メカユニットを取りはずせば洗濯が可能です。
・発売時期:2023年10月発売予定
・メーカー希望小売価格:8,250円(税込)
・2023年6月30日(金) 予約開始
家族のお出かけ時などに利用することで、子どもが慣れない環境でも安心できることを目指してつくられています。まさに親にとっても子供にとっても嬉しい商品です。
こういった「車のぬいぐるみ」は意外にもあまり多く存在しません。子供のころ持っていたぬいぐるみがホンダであったとなれば、将来大人になった時にも少なからずホンダへの愛着というものが生まれているのではないでしょうか。そういった点でも赤ちゃんをターゲットにするのは面白い取り組みだと思います。